品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質を向上させる切り口

 前回に続き品質を向上させる基礎について思うことを
書いてみたいと思います。
 やはり、品質を向上させるには、品質マネジメントシステム
を使って、品質保証体制を確立し、全社的に浸透させていくべきだと思います。
 全社的に共通のシステムがないと、効率的に進められないと思うからです。
 私はISO9001システムを使用してきましたので、ISO9001を使ってきた
経験から思うのですが、品質管理体制を見直し、改善する切っ掛けと
なる事柄がいくつかあると思っています。
それは以下のものです。
1.製品/部品の検査で不良が出た時。
2.製品やサービスで苦情やリコールが出た時。
3.社内での内部監査で問題が出た時。
4.外部からの審査で問題が出た時。
5.協力会社などの関係会社で品質監査を行った際に問題が出た時。

 これらの機会に、起こった問題は、企業としてピンチとなる場合もありますが、品質保証の観点から言えば、改善のチャンスとなる場合が多いものです。
 問題となったプロセス(業務)での改善を行うことで、問題が再発しないようにすることで、品質保証体制の改善を行うことができます。
 しかし、経験から考えて難しいのは、固有技術による不具合が発生した場合かも
わかりません。
 というのは、固有技術というものは、設計や製造など各プロセス固有の技術であり、各プロセスに従事している人々の知識、経験、ノウハウによるところが大きく、どこまで標準化すべきか、標準化できるか悩むところでもあるからです。また、固有技術に係わる人達は標準化に否定的な人が多いように見受けられます。実はその人達は個人的には、標準化に関して、メリットは少ないわけです。というよりも、標準化するに当たってのデメリットのほうが多いかもわかりません。しかしながら、企業から見た場合には、標準化のメリットは大きいわけです。このあたりの企業の考慮といいますか、標準化するために、進んで行動できるような施策が必要であると思いますが、このことは、企業として考えていただきたいと思います。
 ただ、固有技術というものは、その企業の「飯のタネ」でもあるわけで、これこそがお客様に一番貢献できるものでもあるわけです。ここにこそ、一番社内の周知を集め、問題解決と、品質改善を図るべきところでもあるわけです。

 経験のある品質保証担当者は、ある程度、標準化すべき範囲はわかって
いると思いますが、最後のところは、各プロセスの担当者によるところが
大きいものです。これは担当者の能力もありますが、多くの場合、各プロセス
の事情によるところが多いものです。
 そういった事情を細かくわかっているのはプロセスの担当者なわけです。
このプロセスというのは、当然設計部門のノウハウを発揮するプロセスも入ります。

品質保証担当者もアドバイスはできますが、「こうしたほうがいい」とか、
「こうしろ」とかは、なかなか言えません。
 各プロセス担当者と良く議論・相談して決めるべきです。
  こういった経緯で、品質管理マネジメントシステムの改善や、関連する文書などを整備していくことで、品質管理体制が実際の業務に本当に役に立つように、また、効率的に運営できるようになっていくと思います。