品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

苦情品が出た時の品質管理体制の見直し

 品質管理体制の見直し、改善の切っ掛けとして、苦情品が出た時、があります。
 苦情品は出ないほうがいいのですが全く”0%”にすることは、なかなか難しいもの
です。
 私の場合はISO9001品質マネジメントシステムにより維持している苦情管理要領があり、苦情品の程度や内容により、処理方法が決められていました。
 私の場合は製造・販売メーカーだったので、苦情品は、基本的には販売店から送られてくるわけです。
 それらの苦情品を
1.会社責任(設計責任、製造責任、配送不備など)
2.ユーザー責任(取説で保証していない使い方)
3.原因不明のもの
 に分類します。
 3.の原因不明のものは、営業や販売店などからの聞き取りで原因を推定しますが、どうしても原因がわからないものは、会社責任で修理したり、新品と交換したりすることもあります。
 一番改善を検討するのは、会社責任のものです。
ユーザー責任のものも、出来るだけ壊れないような改善は検討しますが、なんといっても会社責任となるものは優先的に改善対象となります。
 社内規定(苦情管理要領など)に従い、関係者で会議を行い、対策の是非などを検討します。
 やはり、対策が難しいのは固有技術にかかわる問題が多い気がします。社内に固有技術がなく、社外にOEM委託している製品などで、問題が出ることがままあります。
そういう製品は、設計も社外であり、苦情品は委託先に送り、対策を検討していただくことになるわけですが、最悪の場合、「設計・製造に問題なし」ということで返却されてくることがあります。OEM委託先と会議を行い理由を聴いてみると、そもそもの製造仕様を外れた使用方法と考えられ、責任を負いかねるというもの。
 詳しく確認すると、開発時点で、そういった使用方法は打ち合わせていなかったことがわかりました。
 こちらの開発担当者は、「社内常識として、当たり前の使用条件で、わざわざ使用条件を記すのを忘れていた」、OEM委託先は「そういう使用条件は私たちの社内では常識
ではなく、仕様書に書いてもらわないと困る」というもので、いまさらながらに、トラブルの原因が判明することがあります。
 そこで、設計変更が簡単なら、こちら責任で変更していただくことになるのですが、設計変更が難しい場合は大変です。
 そのように苦情原因が判明すれば良いのですが、原因が判明しない場合は大変です。
 いろいろな、使用条件を想定してテストを行い、再現を図るのですが、どうしてもわからず、お客様にお願いして、一緒にフィールドで再現テストを行うこともあります。
 結果的に、製品だけでなく、使用環境の設備と製品の機能っていなくて、不具合現象を起こしていることも、稀ではありますが、発生したこともあります。こういった場合でも製品を環境に合わせて変更していかないといけません。
 しかしながら、次回の新製品に、そういった機能(うたい文句としての機能というよりも、保護機能となることが多い)を搭載していくのは大変です。なぜなら、一般的にコスト亜ぷう、寸法増大、重量増大の傾向になるからです。嫌がる企画、開発、製造を説き伏せて、進めていくのは大変です。品質管理、品質保証としては、苦情率の低減という旗しかないので。

 こういった活動を通じて、企画、設計、製造、営業、サービスなどのプロセスの改善点も考慮して、品質管理体制の総合的な改善を図っていきます。