品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

材料による品質不良の原因

材料による品質不良の原因

 開発・設計の担当者は顧客要求を満たすために、設計品質を検討して具体的な製品のための設計を行います。
 また、資材・購買は要求品質に見合う材料・部品を購入して、後工程の製造・生産納期に合わせて、指定された数量を供給するわけです。
 大分前のことになりますが、EU向けに電気部品を取り付けた製品を投入することになりました。
国内ではすでに、電気部品を取り付けた製品は販売していましたが、EU向けは、その時が初めてだったわけです。
 EU向けとなるとRohs規制というものをクリアしなければならなかったのですが、該当の事業部ではRohs規制自体が初めての人が多く、品質保証部門と設計部門、購買部門で、プロジェクトを組んで進めることになりました。
 当時のRohs規制は、

  1.鉛
  2.水銀
  3.六価クロム
  4.カドミウム
  5. ポリ臭化ビフェニル(PBB)
  6. ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)

 の6物質だったのですが、
鉛とカドミウムが大変でした。
まず、鉛は切削材の工具寿命増大には便利なもので、また、切削時間短縮にも効果があるもので、結構な金属に使用されていたのです。
また、金属材料屋さんは微量(0.1%以下)の鉛なんて気にもしていなかったので、Rohs規制だけのために材料変更を行わなければならないものがあったのです。
 また、詳しく言えば、強度などに関しても、再チェックする必要のあるものが出てきて、量産を検討するまえに、一から確認し直しという部品もでてきました。当然ながら、他の一般金属オンリーの製品との共通使用が無理な部品もでてきました。当然ながらコスト高(数量が少ない、使用材料が特殊となる)となってしまいました。
 しかしながら、一番苦労したのはカドミウムでした。
金属材料屋さんの常識で言えば、鉛などは、ミルシートといわれる成分表を見ればすぐわかるので、カドミウムも0.1%以下のものをお願いしますと言っても、訳わからず、ミルシートを付けてきて、カドミウムが記載されていないけどいいですか、と言ってくる営業マンがいるわけです。
 カドミウムが0.1%以下のものをお願いします、といっても、材料商社の営業マンもどうしていいかわからないわけです。その当時のミルシートにはカドミウムの記載がないものが多かったのです。
こちらも、あまりわかっていない状態で、とにかく、0.1%以下というエビデンス(証拠)をくださいというしかない状態でした。また、銅合金中のカドミウムの量が結構ばらつくようで、Rohs規制の0.1%の当たりをばらつくということが言われ、規制以下を証明できるもの(その後、Rohs対応の銅合金が出てきたのですが)や、どうしようもない場合はロット毎に、材料分析を行って証明するというようなことも行いました。
 ことほど、材料のバラツキというのは大変でした。Rohs対応というような、標準品(これが本当の、標準化です)が出てきてほっとしたのを憶えています。

バラツキというものの恐ろしさを思い知ったものです。