品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

目的のない無駄取りは無駄

 無駄をなくそう、という意見は正論です。
一見、正論なので反対しにくいのですが、目的のないムダ取りは効果がすくないですし、効率の非常に悪いものです。
 以前に、同僚の中に無駄取りに執着する人がいて、苦労しました。「5S活動」などの際には、やたら無駄(無駄なもの)を指摘して、廃棄しようとするわけです。確かに「5S活動」でも基本は「整理」(要らないものを捨てる)です。要らないものを捨てて、効率よく仕事をしよう、ということです。考え方はあっているので、反対しづらい
わけです。当時の私達も「5S活動」というものをあまりわかっていなくて、なんかおかしいな、と思いながら彼のいうことをある程度聞いていました。彼が「5S活動」の推進役であったこともあり、彼のいうことは正しいことなのだろうと思って従っていたわけです。しかし、そのうち彼の指示に拍車がかかってきて、段々エスカレートしてきました。あまり使用していない備品とか、古い工具などをどんどん廃棄しようとしてきました。ここにきて、メンバーから文句がでてきました。「それは、あまり使わないけど、暮れの時期には使用するから、廃棄されたらこまる。」とか、「君は知らないかもしれないけど、僕の担当の業務ではたまに使用するから、廃棄されたら困る。」など。
 要するに、彼の個人的な判断で「要/不要」を決めて実行しようとしていたわけです。
  なんでもそうですが、何かを判断しようとする場合は、判断の基準を決める必要があります。それはみんなで意見を出し合って、みんなで納得して決めるべきものです。小集団活動のリーダーであっても、個人的に決めていいものではありません。
 また、私達も、面倒くさいので、彼に任せっぱなしにしていたこともあります。彼も、メンバーが相談に乗ってくれないこともあり、一人で決めてしまったこともあるのでしょう。
 しかしながら、目的をしっかり決めて、それに合わせた判断基準を決めないとみんなの意見が食い違ってくるのは当然です。
 彼は、兎に角、職場の無駄を取り除けば、業務効率が改善されると考えていたようです。
 ただ、職場の無駄といっても、山のようにあるわけで、目的に沿って、効果的なものから対処していかないと、効果もなかなか現れないわけです。それこそ、無駄をせっせと排除しているつもりが、その行為そのものがほとんど無駄に終わっている(厳密にいうと無駄ではなく、無駄に近いものになってしまっている)わけです。
 下手をすると、必要なものを捨ててしまって、再度、購入しないといけないという馬鹿なことにもなりかねないわけです。
 そういう意味で、無駄取りひとつを取っても、
 
 目的を決め
 行動の適否の判断基準を決めないと
 
 正常な活動は出来ないわけです。