品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

カスタム測定器の開発


 測定機の導入のときに少し述べましたが、測定機を導入する際は、仕様を決めます。
 測定機の目的は大きく分けて三つあります。
 
1.強度測定
2.耐久測定
3.機能測定

1.の強度は、比較的に汎用の測定機で行えることが多く、決めた仕様が合えば、
価格を調べて、許容範囲内であれば、購入となるかと思います。

2.の耐久測定に関しても、汎用的な動きや仕様であれば、汎用の測定機で
選べれば、購入可能であろうと思います。

3.の機能測定が一番、難しいものかもわかりません。
 製品の機能というのは、千差万別で、測定するときの条件もいろいろです。
例えば、片手で回すハンドルが付いている製品のハンドルを回す際も、回転数は
どれ位で回すのか、回転させるトルクは最大何Ncmまで必要かとか、条件が個別に違います。
大抵の場合は、カスタムメードの測定機を作成しないと、実現できません。
 稀に、自社の製品と似通ったメジャーな製品用の測定機を流用できる場合もあります。
ですが、そのような例はめったにありません。まず、カスタムメードとなります。
 いざ開発となると大変なのですが、通常は、現在使用している測定機の仕様をアレンジすることで何とかなるのも事実です。

○ 回転数の最大値を上げたい(測定機のモーターのスペックをあげる)
○ 必要トルクを上げたい(測定機のモーターの馬力を上げる、トルクセンサーの

  スペックをあげる)
○ 取り扱える製品の最大サイズを上げたい(測定機のフレームや土台を大きくして

  対応する)

ことで対応できることが多いものです。

 また、新規製品の測定機であっても、一から図面を描くことはなく(正直、描けません)、ポンチ絵(概略図)で、こちらの意図をくみ取ってもらって、後は、動きはどうだとか、必要回転数は、必要トルクはなどを打ち合わせて、メモをコピーし、議事録としてお願いするということが多いものです。
 どうしても必要であれば、正式な図面をお願いして作成していただくこともありましたが、日数的にも掛かりますし、本当に必要な時以外は行いませんでした。社内的にうるさくいう人もいましたが、時間的に、コスト的に、大きなリスクがない限り、納得していただきました。
 それで、見積もりを出して貰い、稟議書を出して、承認を貰い、作成する。

以前にも、測定機の導入の際に述べましたが、カスタムメードの場合は、色々な手順が必要です。
その際、使用する測定器の校正は、こちらで行わなければならず、校正手順書も作成する必要があります。
それに、安全衛生についても検討する必要があります。
 また、通常は、製作完了・入荷時に、受け入れ検査を行います。その際、簡単な動作チェックや仕様の確認で終わることがほとんどですが、複雑な測定機の場合は、検査基準書を取り交わしておく必要があるかもわかりません。
 後々、トラブらないためには、そういったことも必要かもわかりません。
「△△測定機マニュアル」というような、取扱いマニュアルを用意したほうが良いと思います。
 なお、日常点検項目も決めて、日常点検表を作成しておく必要はあります。
 こういった経験、ノウハウ、技術(固有技術です)は、必要であれば、育てていく必要があります。
そうすることで、製品の重要な品質が確認でき、また確認出来る(数字で捉えられる)ことで、品質改善が容易になっていきます。
私の担当していた製品がアウトドアでの製品であったということもあり、現地での実際のテストをしょっちゅうできるものではありませんでした。
また、フィールドテストでは、細かな、狙ったシチュエーションでのテストを何度もできるわけではありませんでした。
さらに、苦情品での不具合事象の原因解明のために、想定条件をいろいろ変えて、しつこくテストする場合には、こういった機能測定機は重宝したものです。カスタムメードの機能測定機はそこそこの投資が必要なものではあります。
 しかし、こういったことが出来る企業とできない企業では、品質の蓄積の差が開いていくであろうと思います。
必要なものは、揃えていきたいものです。