品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

ソフトウェア機能を持っている製品の妥当性を確認する

 製品にソフトウェア機能を持っている(内含している)製品の妥当性を確認することは、大変です。
 私共はそういった製品の企画案は作成しますが、電子回路やソフトウェアの設計は出来ません。当然ながら、ソフトウェア、ハードウェア(製品の一部のユニットではあるが)はアウトソーシングを行い、仕様書を提出して、仕様書を基にアウトソーシング先で出荷検査をしていただき、出荷検査の”合格”を基に、他の部品と一緒に組み立て、妥当性の確認を行うわけです。
それで、問題なく、妥当性の確認が”OK"となれば”メデタシ”となるわけですが、そうはいかないことが時々発生します。
というより、担当して間もない頃は、必ずと言ってよい程、問題が発生しました。

 それは、ソフトウェア仕様書の内容の不十分なためです。
こんな状態の際は、こうして欲しい、というような記述がないからです。
製品のメインの機能については書かれているのですが、そうではない機能については書かれていないわけです。
 例えば、Aという押釦を押しながら、電源をいれたらどうなって欲しいなどという記述はありませんでした。
そこで、Aという押釦を押しながら、電源を入れると、製品が暴走してしまったわけです。
これは、こういうシチュエーションの場合は、”○○な動きをするように”というように、記載すべきなのですが、私共には、そのような経験も知識もなかったので、そういう注意書きを記載すべきという発想もありませんでした。
ではどうするのか、兎に角、ユーザーが操作するであろう、いろいろなシチュエーション、現象を行ってみて、妙な現象が発生しないか、トライするしかありませんでした。
 妙な現象が発生したら、ソフトウェア、ハードウェアの設計者に解決してくださいとお願いするしかないのです。
私達は、その不具合現象と原因、対策方法を記録していくしかありませんでした。
 挙句、相手先も仕様書にないことを、追加・変更しなければならない場合は追加料金を請求してきます。
といっても、人件費の追加程度しか、請求できないわけですが。
 ただ、こういった失敗の連続で、現実に即した仕様書が出来上がってきたのも確かです。高い、授業料というところでしょうか。
 ソフトウェアの不具合、”バグ”と呼んでいたのですが、怖いところは、いろんなチェックを行っても、量産まで行ってしまう(チェック、検査をすり抜けてしまう)ことがあるわけです。量産まで行って、市場に出てしまうと、苦情として返ってくるわけです。これがユーザーの安全に係わるような不具合であれば、”リコール”となるわけです。
 そういったことが起きないように、何重にも関門を設けるわけですが、時々、市場に出てしまうことがありましたね。
そういった経験を活かして、仕様書の充実をはかるわけですが、私共もソフトウェア、ハードウェアの知識を増やしていき、取引先の設計検証に意見を言えるようにしないと、改善はないようです。