作業標準書の作成
製造工程では、一般的に作業の標準として「作業標準書」を作成します。
まず、品質の安定した製品を生産する為に5M(人、設備、方法、材料、測定)のバラツキのポイントを一目で把握できる手段としてQC工程表が作成されます。
つまり、QC工程表は生産ラインのものづくりの基本デザイン図なわけです。
これをみれば一目で工程の管理すべきポイントがわかります。
しかし、QC工程表だけでは各工程のものづくりの詳細ポイントまではわかりません。
作業者がわかりやすく、作業方法を記載したのが作業標準書です。
なぜ、作業標準書が必要か、といえば 作業標準書がないといろいろな問題が発生するわけです。
1)作業者の作業方法のばらつきによる品質トラブルや標準時間のバラツキによる生産台数の低下が発生します。
2)良い作業の未把握、未確定では問題が発生する。
3)文書化していないと正確に伝達できないし、知っている人がいなくなると正しい作業が判らなくなる。
4)工場技術ノウハウの継承ができない。
5)作業改善する場合の各担当、部署間の情報の共有がしにくい。
6)新人作業者に正確に指導、教育できない。
7)不良品がお客様に流失する。
8)お客様からの品質保証文書の要求に応えられない。
等です。
作業標準書に書かれるべき内容は、多きく分けると
①製品名:加工しようとする製品名を記入する。
②工程名:作業標準を必要とする工程名を記入する。
③使用材料、部品:その工程で使用する材料、部品を記入する。
④使用設備、治具:その工程で使用する設備、治工具を記入する。
⑤作業手順:この工程で行う作業の内容をステップ毎に記入する。
⑥主なポイント:重要なポイントを記入、略図、写真、イラストで理解しやすいようにする。
といったところでしょうか。
作業標準書は作成したら終わり、というものではありません。
工程不良やお客様からの苦情が起こるたびに、関係者が知恵を絞って問題を解消し、そういう成果をQC工程表や作業標準書に落とし込んでいっているはずです。
そういう意味で、品質改善のPDCAの結果であり、また、業務の効率化の結果でもあるわけです。
これだけで製造上の「ノウハウ」と言えるかもわかりません。
私の経験上でも、品質改善の成果を作業標準書に正しく表現していないと、製品に十分反映されませんし、品質トラブル・対策の経緯を知っている人がいなくなると、元の木阿弥になりかねません。そういう意味で作業標準書上での表現はとても大事です。過去に問題になった項目は、新製品の作業標準書でも反映する(水平展開)ようにする必要があります。