品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質改善で変えていいものと変えてはいけないものと

 改善で、変えていいものと変えてはいけないものがあるといわれます。
変えてはいけないものとは、企業が絶対守らなければならないと考えているものでしょう。
 絶対に変えてはいけないものとは何でしょう?それは、品質であったり、安全であったり、コアコンピタンスであったりと、色々あると思います。要するに、品質の改善という目的のために、以上のものを変えてしまっては何をやっているのかわからないという結果になってしまうわけです。ただ、この判断が難しいものでもあります。
以前に、苦情率は少ないのですが、使用中に不具合を起こす可能性のある部品がありました。衝撃に弱い部品で、なおかつ破損しても現象として不具合が出るまでに時間のかかるものでした(数か月はかかるもの)。そして、製造工程でも、扱いが難しいもので、同じように破損しても、不具合現象が発生するまでに時間がかかるものでした。結果的に、出荷前にチェックすることが、難しい(事実上、我が社では発見が不可能でした)ので、市場に出てから、苦情として返ってくるまで、解らないものでした。
(当然ながら、出荷時に動作チェックはしており、動作としては合格品を出荷しています)
 このように、我が社としては、完全に把握できないということで、私が担当しているときに使用をやめました。結果的に、若干ですが、苦情率も削減できました。
 ところが、私がその製品の担当を変わってから、2年程した後に、別の製品で、その問題の部品をまた、使用し始めたということを聞いて、関係者に理由を聞いたところ、仕様上、どうしてもその部品を使わざるを得なかったのだということで、苦情率もそんなに変わらないから、いいのじゃないかということになったとのことでした。
 私としては、変更に当たっては色々な試験や検討を行って決めたことであり、納得できなかったのですが、後の祭りであり、もう意見は聞いて貰えませんでした。
  この製品は、別の問題が発生していて、そちらの苦情でてんやわんやしていて、小さな苦情率の差などは、あまり聴いていただけなかったのもあります。
 しかし、私からすると、品質の劣るものを復活させるということには、
 (私の担当ではなかったというものの)納得しにくいものがありました。
 確かに、品質上、劣るといっても小さな差なので、我慢して使用するということもありかな、ともいえるのですが、この部品は、損傷の結果が時間的に遅れて表れるもので(数か月くらいで)、また、原因も突き止めにくいものなわけです。また、製造側でも完全に出荷時点で見つけきれないものなわけで、品質管理担当者としては、再使用はやめてほしいものでした。新製品では、使わざるを得なかったといえばそうなのかもしれませんが、別の部品を検討して欲しかったというのが、私の本心でした。ま、企業としての決断がそうであったわけで、私としては、もう、どうこういえるもの
ではなかったわけですが。
 このように、変えてはいけないものも、人により意見が分かれることもあり、最後は上司の決断で決まるものです。それも、状況などで変わるものでもあるでしょう。