品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質苦情はなぜ起こるのか

 品質苦情はなぜ起こるのか?
 これは、私が品質管理担当になって1、2年の頃、苦情品を担当した営業担当者からの質問です。
質問というより、文句ですね。彼と話したのは電話でだったのですが、
「なぜ、欠陥品が市場に出てくるのか?」ということです。
そのときの私は、兎に角、検査で流出したのだと思われること、問題の検査項目は抜取検査項目だったので、検査で流出する可能性はあるということも正直に説明しました。この時に、検査項目は、それぞれ過去の実績(苦情や工程不良などの結果)から、抜取検査でもOKと思われるもの、その中でも検査数を多くすべきもの(検査数に応じて変わります)、全数検査すべきものと変えています、と詳しく説明すべきかと思ったのですが、電話口でそこまでの説明は出来ませんでした。
 彼からは、兎に角、検査は全数検査にしてください、の一点貼りなわけです。勿論、今回の苦情は、応急処置として、問題の検査項目は当面、全数検査を行います、との説明をしました。なおも、彼は他の検査は全数検査をするべきだ、と言って譲らないわけです。「俺たち、営業の苦労を解っているのか。」
というわけです。その後もいろいろ話をして、不承不承、納得してもらったわけです。
 その時は、私も検査は本来、全数検査をすべきかな、とも思ったわけです。しかし、全ての製品に対して、全部全数検査をするとなると、検査時間を考えるだけで、従来の検査時間の数倍も要するわけで、とても仕事にならないわけです。そのようなことを上司に相談したところ、今回の問題は、入荷した部品の寸法不具合が原因で、出荷元の業者の工程も手を打っていること、出荷検査も当面全数検査にすることは決まっているとのこと。また、組み立て工程での工程検査も全数検査にしたこと、また、製品検査も
前述のように、問題の項目は全数検査にしたことで様子を見ようと言われました。とりあえず3か月経過を見ようといわれました。さらに、営業には迷惑をかけたが、リコールとなる苦情でもない(苦情内容でも苦情率でも)ので勘弁して貰おうといわれました。上司からも、その営業所には電話しておくとのことで、お任せしました。
 さて、今回の苦情の原因は、
 
 部品の加工不具合が発生したこと。
 部品の出荷検査に抜けがあったこと。
 組み立て工程でのチェックがいい加減であったこと。
 製品検査を潜り抜けてしまったこと。(抜取検査だったため)

 苦情の数は少なかったのですが、少ないことは、抜取検査では検出しくくなるのは、あります。
 元々、流出しない検査計画でなければならないのですが。
  当初の、この検査計画で行けば、不具合品は流出しないはずだ、という目論見が外れたのですから、検査計画の見直しが必要になるわけです。
 その修正は、部品加工工程の見直し。
 部品検査の見直し
 組み立て工程の見直し
 組み立て工程のチェック方法の見直し
 製品検査の見直し
 
ということになります。
 これで様子を見ます。
 
 蛇足になりますが、厳しいことを言うようですが、全数検査をして、苦情が皆無になるかと言えば、そうとも限らないのが(通常、"0"にはなりません)難しいところです。
 それは、検査項目にない不具合がある場合は、検査をすり抜ける(不合格にならない)からです。
 どういうことかというと、検査項目を作成する際に想定していないことが発生した場合は、検査で止まりません。そういう問題が市場に出てから、発生することは、稀ですがあります。
 そういう場合は、検査基準書に、その項目を直ちに加えて、検査するようにしなければなりません。こういうことは、3H(初めて、久しぶり、変更)の設計や作業では、得てして発生するのも確かです。
通常の業務よりも、計画、実行段階での確認はより慎重にすることが求められます。