品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

検査で不良が見逃されないようにする

検査を行うに当たって、不良が見逃されることがないようにします。
 検査計画で決めた検査方法や手順にしたがって製品や部品の品質をチェックしますが、検査に必要な測定機器や限度見本などを揃えて検査を行います。
 使用する測定機器については精度校正をすませたものを使用します。
品質管理の仕事として、検査の判定精度を高め維持するため、指示された測定機器の
精度チェックと日常点検が確実に実施されているかを確認して、検査を実施する前の
準備作業を徹底するようにします。
 全数検査の場合は、対象品のすべてを検査の対象として、検査手順書に指示された品質項目について測定したりチェックを行い、良品・不良品を判定します。
 全数検査の対象は、不良が流れると人命に影響を与えたり、わずかな不良が混入して経済的な損失を防ぐ目的で実施することが多いようです。ただ、中には、不良率が多く、抜取検査では、不良品の見逃しが多い場合に、全数検査にすることもあるようです。
  したがって全数検査の担当者は、良品・不良品を正しく識別し、誤判定しないように注意して検査を進めましょう。全数検査でもほかの検査でも同様ですが、良品を不良品と判定したり、不良品を良品と判定するなどした場合には、判定結果にバラツキが出るので、良品・不良品の識別を正しく行うために、検査員の識別能力を定期的に調べ、誤判定した検査員の教育・訓練を実施して、測定精度の向上に努めます。
 また、抜取検査では、対象品のロットからあらかじめ定められた抜取検査の方式にしたがって、サンプルを抜き取って検査を行い、ロットの品質を判定します。
  測定やチェックした結果と、ロットの判定基準とを比較して、検査対象ロットの合格・不合格を判定します。
 検査項目が破壊試験の場合や、Ⅰ個あたりの検査費用が高い場合には、抜取検査になると思います。抜き取ったサンプル中の不良品の個数で、ロット全体の品質を判定するため、合格と判定したロットの中に、不良品が混入する危険性があり、逆に、不合格ロットを全数検査すると不良がない危険性もあります。ロットの工程能力や、不合格率を判断して、抜き取り検査の条件変更や、全数検査への変更も視野に入れた検討を行っていく必要があります。
 無試験検査とは、全数検査や抜取検査のように、検査対象品を手に取って測定したりチェックせずに、納入先から提示される品質情報(測定結果や検査結果)や製造工程での作業条件、工程監査など、製造品質に関係する情報に基づいて、ロットの合格・不合格を判定します。
 品質特性が計量値の場合、検査機器や測定機器などを使用して、測定したデータを元に、品質基準と比較してロットの合否や良品・不良品の判定を行います。
 品質の判定基準は、検査対象品の図面や仕様書から設定することができるため、品質基準の設定や合格・不合格の判定基準を定量的に設定することができます。しかし、図面や仕様書に指示された品質基準をすべて検査すると膨大な検査時間を必要とするため、品質管理の仕事としては、使用上の重要度や苦情情報を参考にして、重要な品質項目を決めて計量値の検査を進めるようにします。
 計数値の検査(キズ、汚れ、ヒケなど)では、人間の感覚器官を使って、目視検査や官能検査を行い、品質基準や限度見本と比較して、良品・不良品を判定します。
 機械や測定機器を使用してチェックしたりしますが、人間でないと判断しにくかったり、コストが安い場合もあり、まだまだ全部、機械で行うことは難しいと思います。
 でも、人間による検査では、人によるバラツキもあり、検査員の適正を判断して、測定の再現性と精度を上げる必要があります。