品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

デザインレビューで品質を考慮するべき

DR(デザインレビュー)で設計品質を審査する場合を考えてみます。
DRでは、品質だけでなく、性能・機能・信頼性などを審査するものです。
他にも価格や製造なども審査されます。
 しかし、ここでは設計品質に関して考えてみます。
  設計部門としては、どうしても、性能・機能の話が優先順位が上になりがちです。
設計担当者としても、評価のメインは、そういったことになるわけですから、しょうがない面もあります。
 しかしながら、品質管理部門としては、仕様書・図面などの面から、過去のトラブル・苦情などを考えて、不安のある項目は、質問・懸念項目・反対意見などを述べます。
 実は、DRに至る前段階(企画案段階、確認のための試作品チェック段階など)で意見がかわされているわけですが、意見が分かれて、DRまで来ることもあります。
 設計サイドは、今度の新機能搭載の製品を出すことで売り上げを伸ばしたい、品質管理サイドとしては、機能のバラツキがあり、不良率が増えるのではないか、というようなことでDRまで来てしまった、というようなことは時々あります。
 結局、経営陣の判断で、量産試作品で再度検証するということになったりします。
こういった場合、量産試作品でも、不良率があまり良くない場合でも、量産に行ってしまうことが多いものです。
 というのは、量産試作段階でも、不良率は従来品より悪いのですが、比較的悪いという程度に収まっていることが多いのです。例えば、従来品の不良率が、3%だったとすると、量産試作品は、7%くらいというところでしょうか。この結果を受けて、後は、不良の多い工程を改良して行って、量産しながら従来品並みに抑えて行こう、という結論になることがおおいものです。
 ところが、蓋を開けてみると、量産になってみたら、不良率が徐々に増えて行って、半年もしたら、10%を超えてしまった、ということが、
 間々あります。この場合、不良に係わる工程での実力が、この程度だったということが多いのです。では、なぜ最初は7%くらいだったのか、ということですが、
 理由は、量産試作段階での検査品サンプルは、製造部門で、選別したものだった、または、組み立て工程で、時間ししたものだった(甚だしい場合は、何度も、分解・改造したものだった、必死で組み立てたものだったなどということです。
 製造するほうも、慣れれば、不良率が下がると思っていたのかも、解りません。しかし、量産し出すと、量が多いこともあり、手直しなどはしている時間がありませんし、不良品がどんどんできてくるわけです。
 そういう意味で、量産試作段階でも、量産時と同じ流れで生産しないといけないのですが、正直にさらけ出してくれないことが、後で問題になってくることがあります。
 やはり、DR時に懸念されたことはとことん検討・話し合うべきなのです。また、工程不良や苦情での原因として、製造工程での問題か、設計上の問題なのかははっきりせて、記録すべきでしょう。そうしないと、次のDRの際に、設計で気を付けるべきことと、製造で気を付けるべきことが判然としません。
 設計部門と製造部門で責任の擦り付け合いになってしまって、改善に向かわないことになってしまう場合があります。
 そいう意味でも、こういった量産にまつわる話は、大きな意味でPDCAなのです。今回、何とか過ぎればいいということではないのです。
 次の製品にも関連してくる話なのです。今年は去年よりも良い品質のものにする、来年はもっと良くしていく、というようなPDCAの上位志向のスパイラルで改善していくべきです。