品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

作業標準の不備が不良を発生させる

 作業標準とよく言われますが、作業標準のない作業もよく見かけます。たしかに、単純作業で、作業標準を用意するまでもないだろう、という作業もあります。では、そういう作業に対しては、作業標準はなくてもよいのか。明確な判断があるのかどうかわからないのですが、私は、その作業で過去不良が発生したり、問題が発生したことがないのか、ということを判断基準にすべきだと思っています。問題が発生したことがあるのであれば、作業標準を設けるべきでしょう。

 通常、作業標準には、作業の条件を具体的に示して、作業の方法や手順を指示しています。
また、現場の実情に合っていることも大切です。
さらに、作業標準は見やすいこと、使いやすいこと、わかりやすいことが大事です。
このような作業標準で不良が発生する場合は、作業標準の改定を考えるべきです。不良にかかわる部分の作業標準には問題があると考えられるからです。ことほどさように、品質管理というのは事実(現実)から始まるのです。「なんでこんな作業で間違いを起こすんだ。」と思ったら、事実をよく調べるべきです。間違いを起こすには何らかの原因があるのです。原因があれば、対策が必要です。その際に、作業標準が必要だとなることが多いものです。
 作業標準というのは、どの作業者がやっても、同じように良品ができるようになるべきなので、そうでなければ、作業標準を改善していきましょう。

 また、作業標準は写真や図を多用して、見てすぐわかるようにすべきです。
 以前に、あまり作業標準を見ずに作業している作業者がいたので、どうしてなのか聞いたところ、「基本は作業標準だけど、必要に応じて手順を変えている、そのほうが早くできる。」とのことでした。
そうであれば、作業標準を変更すべきです。変えたほうがベターであれば変えるべきです。
それに、作業標準と実際の作業方法が違っていれば、その場所にいない人達には、実際の作業がわからないわけです。これでは問題が起こった際に、真の原因を探るためには障害になります。ようするに、作業の見える化が出来ていないわけです。
 また別の工場で使用している作業標準の版数が古いものがありました。作業者も古いことはわかっていて、新しい変更点もわかっていました。さらに、その説明・指示も受けていました。
 だからと言って、そのままにしていていいものではありません。新しい作業者が入ってきた際に、説明・指示の漏れが起こらないという保障はありません。これは、管理者に責任があります。
このように、作業標準の不備により、不良が発生することはままあることです。
不良が発生した工程の作業標準は細かくチェックするようにしましょう。
せっかくバラツキ無く製品を生産するために作成した作業標準なのですが、それがバラツキの原因となり、不良品を生み出す原因となってしまっては、本末転倒なのですから。