品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

検査・測定を管理して不良を低減する

検査や測定について、バラツキや品質不良を起こす原因について書いてみます。

 1.測定方法の選択が不良を見逃す
 2.測定機器が適正でないと、測定機器のバラツキが、不良品を見逃す可能性があり    

   ます。
 3.検査員のバラツキがあると、不良を見逃す可能性があります。


  まず、測定方法の選択が不良を見逃す可能性があるという説明です。
 検査方法として、全数検査や抜き取り検査があります。
  抜き取り検査はある一定数を抜き取って、検査結果から、ロット全体の状態を推定するのですが、ロットのバラツキが大きいと、場合によっては、不良品を見逃す可能性があります。
  その場合、抜き取り数を増やしたり、全数検査を行うことで、不良を見逃さないようにします。抜き取り検査の不良を見逃す危険度については、専門的になるので、JISや専門の書籍をみてください。
 いろいろな企業で、経験的に妥当レベルの抜き取り検査方法を決めていると思うので、大概、その方法で問題はないと思いますが、心配であれば、再検討してみてもよいかと思います。全数検査にすれば、不良見逃す危険は事実上なくなりますが、検査数が多い場合は大変です。また、経費・人件費ともにバカになりません。というより、実用上、実行できないと思います。通常は抜き取り検査で判断することが多いと思います。

 測定機器が適正でないと、不良を見逃す件ですが、測定機器の選択が適正でない場合です。100分の1mmの精度で測定したいのに、ノギスで測定した場合、結果にバラツキが出ます。ノギスは100分の5mmの精度しか保証していないからです。その場合、100分の1mmの精度があるマイクロメータで測定するべきです。そうすることで、バラツキが収まり、適正な測定ができます。要するに、不良の見逃す危険性が低下するわけです。
  そういう測定器の精度検討は設計上、どこまでの測定精度を要求するかで変わってきます。通常は、図面に公差として記載されています。通常、精度を上げていくと、測定機器のコストもアップしますし、また、測定時間もかかることが多いのが現実です。

設計によりますが、設計者と相談して、精度が通常の測定で構わなければ、むやみに精度を上げないことも大事です。
 次に、測定器自体が適正がどうかで、バラツキが出ます。測定器に不具合がある場合と、長期使用などで精度に狂いがでている場合です。この場合は校正を行うことで、狂いが出ているか、そうではないか判定できます。狂いが出ている場合は修理するか、不可能であれば、新規に購入することになるであろうと思います。

 また、測定機器の確認に関して、ISO9001などでは、測定器に関する管理として求められています。
 たいていの企業では、そのための計測機器の管理手順が決められていると思います。
  手順に従って、管理していけばよいと思います。管理の大筋は、使用前に点検を行い、使用に耐えることを確認することと、一定期間いないに校正を行って精度が保証できることと、使用に耐えることを確認することです。

 因みに、社外校正(社外の校正業者に依頼する校正)と社内校正(社内の有資格者が校正を行う)があります。社外校正が人手を取られませんが、料金がかかります。また、社内校正を行うのであれば、社内に原器と呼ばれる標準器が必要です。


 最後に、検査員の資格に関しても、各企業では、ISO9001などでは手順が決められていると思います。

その手順に従って、訓練・承認をされていると思います。しかし、日産などでは、その資格のないものが出荷前検査を行っていたのだと思います。

 

 以上、こういった不良を発生するリスクが、検査・測定の管理の不味さから発生する可能性があるわけです。

 逆に言えば、このような管理をしっかり行えば、不良の発生を低減できるというわけです。