品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

いろいろなツールを使って品質を改善する

 品質不良やトラブルを解決するために、いろいろなツールを使うわけですが、
工程不良を改善した時の経験を述べてみたいと思います。QC七つ道具にこだわる必要はないと思います。

 工程不良を改善した製品の説明ですが、コンソールユニットを組み合わせて、機械部分やモーター、センサーなど組み合わせ、完成品となるものです。
 組み立て工程をお願いしている工場では(A工場とします)、機械部分の組み立てと、モーターやセンサーの組み付けを行い、最後にコンソールユニットを組み付けて完成品とするものです。
 ここで、コンソールユニットは海外工場(B工場とします)で組み立てられ、出荷検査を経て直接、国内のA工場に送られてきます。
 このコンソールユニットなのですが、最近A工場での不良率が多く、問題となっていました。
不良の内訳は、受け入れ検査時の不良と、組み立て後の動作チェック(A工場としては工程内検査となります)、さらに、出荷前検査時の不良を合わせたものです。
 A工場としては、不良とわかった時点で、受け入れ検査後の不良はそのままわが社に返送します。
工程内検査時の不良は、わかった工程でコンソールユニットを入れ替えて、不良のコンソールはわが社に返送します。
 最後に出荷前検査時の不良も、コンソールユニットを入れ替えて、不良品はわが社に返送します。
 わが社にA工場から返送されてくる不良のコンソールユニットですが、A工場からのコメントが1個1個つけられて送られてきます。
 そこで、こちらで、今後のために、連番を付けて、不具合コメント内容と、コンソールユニットの製造刻印をメモし、Excel表に記録しました。
 そのデータを基に集計を行いました。
集計は、日々入ってくる不良品のコンソールユニットのデータを時系列に(入ってくる順番に)入力していったデータをExcelのピボットテーブルの機能で集計表にまとめました。
集計表を基に、まず、製造刻印(製造年月)を基に、棒グラフを描いてみると、不良が増加してきた時期がわかりました。
次に、不良内容別に、パレート図を描いてみました。そうすると、圧倒的に防水不良が多いことがわかりました。全体の66%と圧倒的です。
A工場では受け入れ時に防水検査をしているのですが、ここではねられているものが多いことがわかりました。
海外のB工場も、出荷前に同じような検査治具で防水検査を行って、合格のものしか送っていないはずなのですが、防水不良が多発しています。
 そこで、製造部からB工場へ問い合わせをして貰いました。こちらの集計結果と共に、どうなっているのかを聞いて貰いました。
B工場からの返事は次の日にきたのですが、「合格品しか送っていない、途中でおかしくなったのかもしれない。」とのことでした。
 B工場の返事を元に、検討したのですが、運搬時には、段ボール内にクッション材も敷かれていることから、やはり、B工場での検査になるかあるのではないか、ということになりました。しかしながら、すぐ行ける人がいないため、2週間後に、生産打ち合わせに行く人に、出荷検査の状況を確認してきて貰うことになりました。
 その間に、たまってくる不良品を再度集計し、防水不良以外もパレート図での程度(%を数字で表現しました)を示し、また、各不良項目の製造刻印毎の経緯を棒グラフで示し、これらの不良の原因追求と低減対策案をだして欲しいと、要望を出しました。
 B工場で見てきて貰った結果で意外なことがわかりました。現場を見ろという基本通りなのですが、

 1.B工場での検査治具がA工場のものと違う
 2.検査治具の検査方法が違う(圧力をかける時間が違う)
 3.判定方法が微妙に違い
 なぜ検査治具が違うのか聞いたところ、B工場に送る際、数を稼げるように、治具を大きくして、一緒に検査できるサンプルを増やしたとのこと。
 検査方法が違うのははっきりしないが、検査時間を短くしたいので、時間を短くしたのではないか(誰と誰が決めたのか、議事録もないということ)とのこと。

 まず、A工場と検査を合わせるのが大事なので、わが社にあるA工場と同じ治具をB工場に送ることとしました。
 また、判定方法が微妙に違うのも、判定方法を文書化してもらいました。
  そういったことで、B工場からの不良品は低減していきました。

 ツールの話に戻りますが、

 1.Excel表を作成し、不良状況を入力していく。          ---  記録
 2.Excelでピボットテーブル機能を使い、集計表を作成する。    --- 集計表を作る
 3.集計表を使い、製造刻印での棒グラフ化、            --- 見える化

   不良毎の変化を折れ線グラフ化                 --- 見える化
 4.集計表を使い、パレート図を作成し、              --- 見える化

          不良の多い項目を特定             ---  重点決め
 5.設備変更(検査治具変更、作業条件変更)
 6.対策後の低減状況をグラフ化(全体の不良率の目的%以下になったことを確認し、終了)。

 でしょうか。
 検査治具の作業標準のあいまいさや、B工場とのやり取りの歯がゆさは、私の
業務ではなかったので、しかたのないことはありましたが、なんとか、低減できたと
思っています。