品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

計測の際のSI単位系

 品質管理、品質保証の業務の中で行う測定時には、原則として、SI単位を使用しています。
1992年(平成4年)に計量法が制定されて、原則として、SI単位系(国際単位系)を使用する
よう推奨することになりました。ただ、取引や証明では規定されます。SI単位系でないとダメになるわけです。ではSI単位系とはなにかということは、Googleで検索すれば詳しくわかると思います。ISO9001の測定器の校正では、SI単位での測定が必要になります。
 測定機器の買い替えなども行いました。必ずしも買い替えの必要はないのですが、証明用の測定時はSI単位系の使用が必須ですし、SI単位系の測定器にシフトしていきました。
製造工程内の測定や、勿論、検査時に使用する測定機器もSI単位系に変更していきました。
 一番よく使用する、
1.力の単位
2.圧力の単位

 が、大変でした。
 力の測定は、押し力や引き力、張力など、測定の基本ともいうべき、よく行われる測定です。
簡単なものでは、バネばかりで製品の操作レバーを押してみて、どれ位で動き出すか測定するなど、頻繁に行います。この測定が、以前は○○Kg(明確にするためには、Kgf,キログラム重)と記録します。
SI単位系では△△N(ニュートン)に変わるわけです。単位の文字が変わるだけならいいのですが、数字も変わるわけです。
 例えば、1.00Kgfなら、同じ値が9.8Nに変わるわけです。
 
2.の圧力はもっとややこしくて、1.0Kgf/cm2(キログラム重/平方センチ)だったものが、0.098Mpa(メガパスカル)
  となるわけです。
 
 また、1.の力とは違うのですが、質量がなかなかこんがらがるのです。
というのは、工学単位系では力の単位である重量をそのまま質量として使用していました。
例えば、私の体重を60KgfとするとSI単位系でも60Kgです。ここで、工学単位系であるという意味で最後に「f」を
付けています。数字としては、同じく60なのですが、校正などの際は気を使います。というのは、質量というのは、私たちは、直接測れないものなのです。実は、地球の重力を利用して、重力という「力」を測ることで、間接的に質量を測っているわけです。つまり、物理学でいうところの、

  F=m・a
  m=F/a
  
 重力(F)を測ることで、重力加速度(a)を利用して、質量(m)を換算しているわけです。
  通常は、意識することはないのですが、校正などをする場合に精度が必要な場合は問題になる場合があります。
 通常の台秤は、内蔵されている「力」を測るロードセルで(F)を測っているので、結果の数字(当然、換算された (m)が表示されますが、ここで利用する重力加速度(a)は地域で微妙に変わります。北海道と沖縄では0.14%程度変化するといわれています。沖縄の方が、数字は小さくでます。(秤は地域別に調整されています。)100Kgに対して140g程度と言われているので、通常はほとんど問題ないと思いますが。その程度の差が気になる(影響を及ぼす)計測では特別な考慮をすべきでしょう。
 
  計量法も制定されて20数年たちますが、今でも、工学単位系を使用している業界が多いのも事実です。
  取引や証明などの記録にはSI単位でなければならないのは事実ですが、民間での単位となるとどうなのでしょう。
 狭い業界では、いまだに、古い単位系で話のやり取りがされていることも多いかもわかりません。一部の取説などで最初はSI単位と古い工学系の単位が併記されていたものが、工学単位系だけに戻っているものを見受けたりします。
 お客様がこちらに馴染んでいるのであれば、しょうがないかもわかりません。