品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質管理の本筋

 品質管理、品質保証の目的とは何か。
お客様の満足度を上げることです。
単純に言えば、ライバル他社の製品やサービスより良いものを提供することだと思います。そうすれば、お客様は喜んで下さり、その製品やサービスに対価を払って下さります。
これは、言うのは簡単ですが、行うのはなかなか大変なことです。
製品やサービスを販売、提供する行為は、後向きにボートを漕いで、前に進む行為だといった人がいます。新製品を市場に出した後の、市場の様子や売り上げ、評判、苦情などは進めてみて初めてわかります。市場に出す前に、色々な検討を行いますが、出してみないと解りません。実際に受け入れられるかどうかは、結局は市場に出してみないとわかりません。
出してみて、思ってもみなかった苦情や問題が発生することがあります。
苦情や問題に対しても、いろいろ想定して対策をしているのですが、そういった対策の上をいっていたり、思ってもいなかった方向から発生する問題だから苦情となるわけでもあります。
 そういう意味で、未然防止ということが一番いいのですが、これは本当に大変なことです。
ある大学の先生は、未然防止というのは、起こっていない事故を創造することだ、と仰っています。世の中に起こっていない事象を空想の世界で想像し、なおかつその事象の防止対策案を考え、現実化する。
新製品を出す前に、こういうことを考えて未然に防止する(主として、設計者に考えさせるのですが、お前も考えろ、と設計者に怒られることもあります!)。
 いろいろな情報や、経験者の話、苦情品の例などを頭に叩き込んで、何日間かすると、それなりの解決策が浮かぶことはあります。無意識の中に、いろいろな情報がうまく組み合わさったのか、過去の似通った事例がうまくアレンジされているのかはわからないのですが。ただ、このようなアイデアが出てくる確率は低いので、現実的には、過去の似通った事例を実際に調べて、アレンジして未然防止(かどうかわかりませんが)らしきものを対策として具体化していくことになります。
 しかしながら、やはり新製品を出した後で、苦情や問題が発生することは、まゝあることです。
そういうばあいは、いかに素早く、問題が小さい内に、設計変更などを行い、対策を立てることです。
そういう意味で市場の動向は詳しくモニターすべきことです。
 私が係わっていた製品は趣味に関連するものだったので、お客様の苦情・意見も比較的多かったように思います。
なので、新製品の苦情品は毎朝、チェックしました。そこで、実際のユーザーの意見(苦情品のコメント欄)に接して、市場の動向を推し量っていました。
 その中で、設計変更が必要と思われるものは、設計部門、製造部門と協議して、対策を立てるべきと思われるものは対策を素早く立てるようにしていました。
 そういう意味で、苦情品再発防止に努めていました。こういった行動の結果が次の新製品の未然防止、再発防止に繋がっていると思いますし、繋げていかないといけないと思います。