品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

発注品の品質を確認する

 製品で必要な部品や材料を購入する場合に、品質要求の厳しい発注品は相手先のQC工程表を要求したいものです。
 QC工程表とは、1つの製品の原材料・部品の購入から完成品として出荷される
までの工程の各段階での、管理すべきことや管理方法を工程の流れに沿って記載した表です。
つまり、製造現場の品質を保証するために、各工程で、どのような「製造条件」を
コントロールしているか、どのような「品質項目」を誰が何時、確認しているかを表したものです。
 QC工程表は、その製品のノウハウに係わることも多く、提出を嫌がられることもあります。
提出できないものは仕方がないのですが、差支えない範囲で概要だけでも入手したいものです。
 最初は無理でも、不具合が発生した場合は、発生原因と工程での問題点、その対策点はしっかり確認し、そのたびにQC工程表を具体的にしていきましょう。不具合が発生した場合は、こちらも損失が出ているわけです。当然ながら、対策方法の適否を判断するためにも、具体的な工程での処理方法、条件も知らなければなりません。また、要求する権利があります。
 継続的に不良が出ているなら、工程での設定に問題がある可能性が高いものです。
相手先任せにせず、購入先の工程内容も把握するようにしたいものです。
 もう20年程前に、初めて購入する製品を台湾にある企業と交渉したことがあります。
その製品のキモとなる工程はどうしても見せていただけませんでした。その他の工程は見学したり、途中での仕掛品もみせていただいたのですが、その工程は入らせていただけませんでした。工程合格率はどうなんだと聞いたら、ほとんど100%だとのこと。その後、量産試作品のテスト結果も問題なく、どうしようかとなった際に、一部の工程をどうしても見せてくれないが、どうしようという話になりました。最終的に、課長が、「まあ、他に問題はないみたいだし、いいんじゃないか。」ということで、量産となりました。その後、半年程して、苦情が発生しました。
 苦情品の量はそんなに多くなかったのですが、苦情内容が問題で、結局リコール扱いとなりました。
 後でわかったことですが、見せてもらえなかった工程は、向うでも元々問題のあった工程で、合格率も悪かったようです。合格率100%は嘘だったようです。工程も開示してくれないし、正確な情報も提出してくれなかったで、リコール費用も全部持ってくれと言ったら、それだけは勘弁してほしい、会社が潰れてしまう、ということで、設計変更もして、工程も全て開示して貰うことで、やり直しを行いました。
 このように、工程情報がないと、正常な判断が出来ません。QC工程表や作業標準書は大事な情報です。要求品質が厳しい場合は、しっかり把握すべきです。
 しかしながら、あまり知らない業界だと、最初はどこまで要求できるかわからないということが多く、むつかしいところです。
 多くの場合、問題が起こってから適正な要求ができるというのが本当のところです。この場合のように、最初から重大な問題発生すると辛いところですね。