品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

アウトソーシングする製品の品質管理

 アウトソーシングする製品の品質管理というのは、品質管理部門からすると、悩ましいものです。というのは、品質管理というのは、文字通り品質を管理することなのですが、管理するためには、管理する範囲を見通せて、コントロールすることが出来て、初めて初期の目的を達成できるものです。

 つまり、予定通りの品質を達成するためには、諸々の項目を管理できないと、非常に困難なわけです。ところが、このことを理解している経営者、管理職がどれだけいるでしょうか。
そもそもアウトソーシングを行う目的というのが、リソース(資源)をなるべく投資せずに、初期の目的を達成したいというものです。つまり、人的資源を節約したい(教育、経験も含めて)、設備投資をしたくない、などのリソース節約、削減が主目的であると思います。
 つまり、「こういった製品を世に出して、利益を得たい、但し、投資は最小にしたい。」というのが、アウトソーシングする狙いであろうと思います。
 事実、私も、品質管理部門に来て間もない頃、品管部長から聞いたことがあります。
 「今度、アウトソーシングで、企画した製品を製造して貰い、それを右から左に売って、それで利益が出るらしい。」
 という話を聞かされ、それは楽でいいですね、と皆で言っていたことを憶えています。新たに扱う予定の製品も”○○グッズ”というようなもので、製造も、そんなに難しくないそうで、また、我々品管部門は関知せずの商売となるとのことで、対して気にもせずにいました。
 しかし、始めてみたら、やはり苦情が多く、結局は品質管理部門でも扱わざるを得なくなったのですが、苦情率もなかなかへらず、大変だったようです。その後、私も一部の製品を担当するようになり、”ヒイヒイ”言わされるようになるのですが。
 このように、我が社の初期のアウトソーシングはフルアウトソーシング状態だったのでしょう。
 ここで、苦情などがそこそこ出ても、目を瞑ってそのまま商売を続けるという手もなくはないわけです。ただ、そのままでは、他の製品との品質の差などを考えると、ブランド名を変えて出すとか、他製品への影響が出にくいような対策が必要です。それにしても、あまりにも苦情品や不良品が多いと利益にも影響が出てきます。
お願いする企業の品質にもよると思いますが、アウトソーシング先の工場を監査して、改善を促す方法もあります。但し、監査を行える人材を用意する必要があります。そうしないと、判断もできないわけですから。
そのためには、品質基準を示さないといけません。そういった人材を育てるには、経験をさせるための時間も必要です。即戦力の人材を入れる手もあります。
いずれにしろ、「適当に製造してください。」という依頼方法では済まないわけです。
 また、製品にもよりますが、設計段階から品質を考慮した設計をしてもらうようにするために「品質目標など」を提出しなければならない場合もあります。
この場合は、通常、設計検証も行わなければならないでしょう。
 さらに、設計ノウハウのために、設計も自社内で行わなければならない製品もあるかもわかりません。この場合は、製造のみがアウトソーシングとなるかもわかりません。

 以上、いろんなケースのアウトソーシングが存在しますが、品質管理、品質改善の前提である
 
  1.不良品が顧客へ流出することを防ぐ。
  2.不良を作らない現場を目指す。
  3.不良がでた場合に現場、現実、現物をすぐ知ること。
  
 を実行することはなかなか大変になってきます。
 
 品質の実態とアウトソーシングの状態との兼ね合いになることが多いと思います。製品によって、どこまで関与するべきかの判断が必要だと思います。
 しかし、これはアウトソーシングを始める動機と関係するもので、経営判断が求められ、どの企業でも難しい判断を求められているのかな、と思います。
 昨今の品質問題、品質不正問題とも関係するのではないかとも思います。
悩ましいことではあります。