品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

工程の品質を数字で判断する

 一般的に、製造工程でのバラツキは品質に影響を与えるものです。
バラツキが大きいと、品質が悪くなる傾向にあります。
 このバラツキを品質管理では標準偏差というもので表します。
標準偏差というのは、意味としては、平均値と実際の値との差(偏差)の平均値的なものです。まあ、数字の苦手な方は、その平均値と実際の値との差のバラツキを平均値的に表したものだと思ってください。例えば、丸棒を製造した場合のことを考えます。
 ねらいが10.00mmのところ、10.02mmだったり、9.98mmだったりした場合に、この差である0.02mmや-0.02mmがバラツキなのですが、一定の計算式で標準検査を算出します。
 この標準偏差の計算は結構面倒くさいものだったので、昔はよほど必要がない限り、計算しませんでした。
 私も、電卓を使いながら、時間を掛けて計算したことを憶えています。これがまた、途中で計算間違いをしたりして、やり直したり、確認のため再計算をしたりして、面倒だったのを憶えています。
 ところが、最近はExcelで関数が揃っているので、データがあれば、すぐ計算できるので、多用されるようになりました。これで、数字が苦手な方も安直に計算できるようになったわけです。
かくいう私も、標準偏差を多用するようになったのは、この10年でしょうか。
 また、イントラネットやインターネットでのクラウド機能により、他者のデータや、他部門のデータを簡単に使用できるようになった事、さらに、相手にこちらのクラウド機能を利用してデータ処理した結果を簡単に見える化出来ることも意思疎通の時間が
 早くなったと思います。このような、ネットワークの進歩や、Excelなど(表計算ソフト)の機能充実(複雑な計算が関数で用意されていること)は、私のように、昔の状態を知っているものにとっては、隔世の感がありますね。
  この標準偏差が簡単に計算出来ると、この標準偏差を元にして、”工程能力指数”というものも簡単に計算できるので、工程能力指数も多用されるようになりました。
 この工程能力指数というのは、簡単に言えば、その名の通り、”工程の能力”を表すもので、数字が大きい程、能力がある(つまり、均一に製品が出来る)ということを表しています。
 つまり、最近のロットの工程能力指数が下がって来ていると、何か問題が起こっているのではないか(バラツいているのではないか)、という疑いも出てくるわけです。また、工程能力指数が低いと、抜取検査でロット全体を判断するわけにはいかないのでは、ないかということも言えるわけで、抜取検査だけでは、不良品が検査をすり抜けてしまう恐れもあるわけです。