品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

アウトソーシングを依頼している会社との品質情報交換

アウトソーシングしている会社に設計・製造をお願いしている部品などの品質に関しては、製造工程での問題はなかなか分かりにくいものです。
まず、その分野の設計・製造の技術について、あまり知らない。
経験もすくない。今、動かしている製造工程についてあまり知らないわけです。
また、いつでも見に行けるわけでもない所にあると、余計に解りにくくなるものです。
しかしながら、苦情などが発生すれば、お客様に状況を説明しなければなりませんし、対策もとらなければなりません。
少ない機会を活かして、設計のノウハウ、製造のノウハウを出来るだけ吸収するようにしたいものです。
 以前に、新製品の品質打ち合わせに行った際に、工場の工程も見せていただきたいとお願いしたことがありました。
 せっかく、協力会社にお邪魔する機会なので、製造工程を再確認したいと思ったからです。ただし、協力会社では最終組み立てしか行っておらず、途中工程はまた、アウトソーシング(そのまた協力会社に依頼している)しています。
 3社ほど見に行った工場から戻ってくる際に、案内してくれた製造(組み立て部門)の担当者から、相談というのか愚痴というのか、話がありました。
 車の中の話だったのですが、組み立て後(最終組み立て後)の表示不具合不良が一定数の割合で発生し、原因がわからず困っているというものでした。これは今回の新製品も含めて、以前から同様な状態だとのことでした。
まあ、従来品も新製品も共用部品を使っているので、不具合が発生すれば、同じような比率で出るのでしょう。
 そこで、協力会社に帰ってきて、設計部門の担当者に聞いたところ、そのような話は聞いていなかったということでした。どうも、今まで製造部門だけで問題解決を試みていたようです。なので、不具合品を持ってきて貰って分解してみたところ、液晶ユニットと液晶ユニットカバーとの間のガタが大きいことが判りました。
自社の設計担当者もそこにいたので、協力会社の担当者と一緒に協議して貰い、液晶ユニットカバーの寸法を小さくして貰うことで合意しました。
 実は図面は自社の設計者がかいたもので、駿府、公差は前任者の図面にならって書いたもので、あまり意識していなかったというものでした。
 この表示不具合問題は苦情品でも発生率はそんなに高くないのですが、出ていたものです。
これまでは、原因がわからず、そのままになっていたのですが、今回の確認・検討・変更で製造工程の不具合現象と苦情率の現象の両方の問題を解決することができました。
 私がなにかしたわけではないのですが、協力会社の製造担当者の問題提起から始まり、製造問題、苦情問題の両方が解決できた好例で、私の品質改善の経験の中でも、貴重な思い出として、残っています。お互いの情報共有の大切さ(私どもは製造工程で問題が発生していたこと、協力会社では苦情が発生していたこと)をしりました。実際問題として、協力会社でもわが社の製品ばかり製造しているわけではなく、何でもオープンに出来る性質のものでもないわけです。しかしながら、やはり現実を知ることは大事だと痛感しました。
 QCの基本は現場、現物、現実、です。
自社の工場と違って、協力会社の工場(そのまた協力工場へはさらに足が遠のきます)には、しょっちゅう出かけるわけにはいきません。
出かけていけば、協力会社の方々にも時間を割いて貰うわけですし、気を遣わせるわけです。
しかしながら、同じ製品を扱っている仲間として、品質改善のためには、お互いに協力していくべきなのだと再確認しました。