品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

設計の後の品質の確認

 設計のあとの品質の確認ですが、製品(通常は量産試作品となる)の確認が中心となります。
 勿論、他の設計仕様、設計資料も確認を行います。
製造部門の確認も製品(量産試作品)の確認をメインに、作業標準書や手順書類の確認も行われます。
 顧客のニーズに合っているかという検証になるわけですが、ISO9001では「妥当性の確認」と呼ばれる処理を行うことになるわけです。
 通常は「製品評価基準書」(あるいは、別の呼び方をされるかもわかりませんが、評価基準の一覧表です)に従って、測定、チェックが行われます。
 「製品評価基準書」には、顧客の使用を想定した確認項目や、法令的な規制項目(販売・使用される地域、国の規制)、それに、基本的な仕様など(重量、や寸法、材質など、カタログや取扱説明書などで宣言している項目)。
 当然ながら、製品の安全性も要検討です。(先ほどの法令になりますが、消費生活用製品安全法、PL法も検討しなければなりません)
 これらの項目を全て織り込んだ「製品評価基準書」の項目をクリアしていることが必要になります。
ただ、時々、「製品評価基準書」の項目をクリアしているが、新たに問題点が見つかる場合があります。
 例えば、表面のカバーの材質を変更したために、破損した場合に、破片が飛び散るようになった。その破片が最悪、目に飛び散る可能性があることがわかった。このような項目は「製品評価基準書」には記されていなかったが、安全上の観点からは、材質変更が必要だろうということで、設計変更になることもありました。当然ながら、「製品評価基準書」の内容も追加・変更されることになります。
 このように、明確に文章などで示されている顧客要望の内容以外に、「こういう現象はお客様からしたら受け入れられないだろうな」とか、「こういう項目は嫌われるだろうな、良くないな」ということなども発見されることがあります。設計者からしたら、事前に聞いていた「製品評価基準書」には記されていないのに、この期に及んで難癖を付けないでよ、と思われることもあります。
 しかし、やはり、「顧客満足」という観点から、関係者で話合い、変更するべきという項目は変更していくべきです。
 また、設計問題を低減させるためには、組織が持っている経験やノウハウを総動員して(当然、設計部門だけではありません)、できる限り質の高い設計を前倒しして、設計支援のしくみができることが必要です。トラブル知識をしっかり活用する仕組みを設計プロセス全体で構築することが重要だと思います。
 ただ、なかなか難しい、事柄であるのはたしかですね。こういった、妥当性の確認の過程で、発生した問題と、どう解決していったかということを具体的に記録して、次回の別の製品の設計時に参考にできるということは大事なことだと思います。このようなことが大きな意味での「PDCA」ではないか、と思っています。
 このように、改善を続けていくことで、製品の品質は良くなっていくのではないか、と思っています。