品質問題で期待したい事
前回に引き続きKYB関連でわかったことです。
KYBが検査データに手を加えて、不合格品を合格品として出荷した製品は
全国で1000点を超えているそうですが、今後、修理・交換が済むまで
同製品の受注はしないそうです。予定では2020年かそれ以降か、という
状態とのことです。営利企業として見た場合、不正の代償として払ったもの
は大きいものがあると思います。
普通に、品質保証として考えた場合に、問題となった製品の工程能力指数
などは確認しなかったのでしょうか。
工程能力指数というのは、バラツキの度合いの少なさを示すもので、数字が大きい程、バラツキが少ない工程(製品ロット)を示します。
通常、
工程能力 cpk=1.33 の場合、不良率は 0.0063%
cpk=1.00 の場合、不良率は 0.27 %
cpk=0.67 の場合、不良率は 4.5 %
cpk=0.50 の場合、不良率は 13.4 %
といわれていますが、報道されている内容から類推すると、
不良率は 10数%以上のレベルではないかと推定します。
そうすると cpk は 0.67 以下と推定されます。
通常、cpkは 1.0 以上が推薦され、重要なもの、安全上大事な
ものなどは、1.33以上か1.55以上などとされることが多いように思います。
もちろん、業種、対象製品によって変わるものなので、一概には言えません
が。
ただ、こういった工程能力指数の確認や、ヒストグラムでの確認もされていな
かったのかもわかりません。
検査データを信じていたユーザーは残念でしょう。
もっと残念なのは、同業他社でも、検査データをねつ造していたメーカーが出て
きたことですね。
こういった企業は、品質保証ということを、どう捉えているのでしょうね。
悲しいことです。
私は、日本企業の強みは品質だと思っています。。。
思いたいですね。
普通に考えるならば、工程能力指数があまりに悪い場合は、何かバラツキのおおきな部品がある場合が多いものです。その部品を全数検査して、除外するべきだと考えます。
もしも、そういう部品がいくつもあって大変ならば、その部品を使わなくてもいいようにするように設計変更すべきでしょうね。どちらもなかなか大変だったのでしょうが、挙句の果て、このような事態になってしまって、回収、変更で大赤字になる位ならば、いくらでも手はあっただろうに、と思うのは、まあ、”後の祭り”なのでしょうけどね。
しかし、だからこそ、工程能力指数を掴み、バラツキに対する対策を立て、完成品を作ってから不合格だ、廃棄だ、作り直しだ、ということのない様にすることの大切さを認識することが大事だと思います。
こういった企業で仕事をしていると、たぶん、だんだん洗脳されていってしまうのでしょうね。上に意見しても、聞き入れられない場合は、辞めるべきではないでしょうか。個人的にはつらいことですが、世の中に与える影響を思うと、こういう業務を続けるのはいけないことだと思います。また、辞めさせるべく告発すべきでしょう。企業人として、問題がある、という方もいるかもわかりませんが、どう考えても詐欺的業務です。この商品を使用している人は、検査結果を信用しているわけですから。
こういう業務は行うべきではありません。
どうか、みなさん、品質優先で業務を行っていただきたいですね。
こういったことで、失うものは大きいと思いますし、一度失った信頼を取り返す
のは大変だと思いますので。
少なくとも日本で業務を行う場合は、”品質優先”、”顧客優先”で行っていただきたいと思います。過去の先達が苦労を重ねて築き上げた、日本製品の品質ブランドを継承したいものだと考えます。