品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質問題の遠因は

  昨今の品質問題で、発覚が遅れた原因はいろいろあるのでしょうが、 
基本は、品質に対する無関心ではないだろうか、と思います。
経営者、品質保証部門以外の社員。
へたをすると、品質保証部門の管理職や担当者も。
 単純に考えれば、「品質」について、関心のある項目としての優先順位が、
低いのだろうと思う。
 目先の生産量、納期、売り上げなどの優先順位が高くて、品質に関しての優先順位が
低いのでしょう。
 私が勤めていた企業でも、もう数十年前になりますが、 製造部を管掌している役員が、品質管理部も管掌していて、 合理化策として品質管理課が製造部の中に入ったことがあります。 
結果は悲惨なもので、社内の不良が減り、社外からの苦情が増えてきました。
 不良と判定すべきところを合格と判断したり、「特採」がやたら増えてきたわけです。
 また、営業からの納期へのプレッシャーも製造部門と一緒になって品質管理部門に来ていたこともあります。

 そのときの反省から、今でも品質管理部は独立事業部の扱いとなっています。 あくまでも部門どうしで話し合いができるような組織となっています。
つまり、管轄が変わっても同じように判断してくれていい、と言われても無理なわけです。
品証部員も人の子、勤務評価にかかわってくる人達に、どうにかならないのか、
と言われれば、無理やり「合格」としてしまうことも起こります。 
 結果的に、社内不良が減って、一見、品質が向上したように見えるわけです。
でも、社外からの苦情は逆に増えてくるんですね。
 上や、関係者の品質に対する関心の度合いや人間関係が、いかに品質に影響するか、
ということを思い知らされました。
 また、こういう組織上の問題というのは、経営者の理解なしには改善しません。

そういう意味で、私の会社の経営者はまだ、品質に関して理解があったのだろうと思っています。

経営者が、下に、「俺は品質のことは解らんから、適当にやっておいてくれ」と言っていては改善されないわけです。

 結局、企業として品質優先の考え方がないと、昨今問題を起こした企業のようになるのではないでしょうか。
苦情率や合格率などの品質情報などは常時、掲示することは無理ても、誰でも見たい時には見れるようにしておくことは大事ではないでしょうか。

今時の情報技術を持ってすれば、比較的容易に実現できるように思います。
見える化」というのは、「見やすい化」です。見るために、いろいろ手順を踏まないと見れないのは「見える化」ではありません。これは、主として品管部門、品証部門の責任であろうと思います。

誰でも見れるとなれば、人は、あからさまなデータ改ざんなどは躊躇するものです。
そういう意味で、「見える化」というのは重要な手段であるように思います。
知っている人はとっくに知っていることかもわかりませんが。。。

また、営業としても、苦情率が上がってくれば、考えるでしょう。当然、客先からも苦情の情報が増えてくるでしょうし。

このように、事実をそのまま直視するというのは、品質管理の基本でもあると思います。

 また、製造関係の人や営業関係の人も、品質の事は品質管理に任せているんだから、適当にやっておいてくれでは済まないわけです。製造関係の人も、出荷時の不良率が少ないからいいじゃないかで終わらず、苦情率も時々見ていただきたいと思います。

営業のかたも苦情率を来ていただきたいと思います。顧客から苦情が来たらどうするのでしょうか。何にも知らない営業、と言われかねません。

品質管理、品質保証の人に説明に行かせておわりでしょうか。それでは顧客の信頼はなくなると思うのですが。

  このように、品質問題というのは全社的問題なわけです。品管部門、品証部門だけの問題ではありません。