品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

リコールを行った時の品質の見直し

 品質管理体制の見直し、改善の切っ掛けとして、リコールを行った時、があります。
 リコールも、苦情の一種といえなくもないのですが、通常の苦情品と違うところは、
 1.顧客(世間)に知らせなければならないこと。
 2.市場に出した製品は原則として全品回収しなければならないこと。

です。
 告知としては、通常新聞等での告知義務があります。
これだけで、通常は数千万円の費用が掛かります。
 また、市場に出した製品は回収して、修理、又は改良品と交換することになります。
 通常の苦情品と違うところは、出荷した製品を全数処理しなければならないところ
です。
 苦情ならば、出荷した製品のうち数%とか、そのくらいの処理でいいのですが、
リコールとなると全数です。
 例えば、年間5万セット出荷した製品が、販売後2年経過した時に回収しなければ
いけなくなったときは、10万セットが対象になります。
 苦情品の場合、苦情率にもよりますが、2%の苦情率だった場合は2000セットでいいわけです。

 それ以外にも、リコール時の、いろいろな手間がかかります。
 通常は、リコール時には、臨時に派遣社員やアルバイト社員を雇って、人手のカバーを図ったりします。
リコールを行った後の売れ行きにもよりますが、その製品での利益を図ることは相当
難しいでしょう。
 このように、リコールが発生した場合の損失・手間はとても大きいので、詳細な是正処置を行い、同じような不具合は2度と起こさないようにしないといけません。
 また、その製品だけでなく、関連する製品の信頼性も損なわれてしまいます。
是正処置により、お客様の信頼を回復することがとても大事です。
 さらに、リコールを起こしたときは、経済産業省に届け出なければならず、また、回収の状況も、毎月報告が必要となります。
 このように、リコールというのは、企業にとっても負担の大きい事態ですので、今後
、起こらないようにするための未然防止の手立てが必要になります。

 その際には、過去の苦情情報が必要になりますが、解り易い形でまとめておく必要があると思います。そうしないと、結局、使われないからです。

 また、品質管理体制の見直しを行う必要があるのですが、いろいろなマーケットのお客さまの声を、再度確認する必要があります。

1.情報収集能力の強化

できるだけお客様に近いところで品質情報を収集する体制を各地域で強化する。
代理店、営業所などで、製品に関する情報を迅速に収集し、関係者に提供できるようにしなければなりません。
品質部門は、いろいろなマーケットの苦情、不具合、リコール情報等をす早く共有する。 

 また、品質管理部門は重要な苦情と思われるものは、詳細な解析を行い、レポート   を作成するようにすべきでしょう。

リコール等の(それ以外でも)品質問題の原因を再検討する必要があります。
いろいろな地域のお客様の視点を検討し、改善内容を策定するべきです。


2.製品のさらなる安全性と安心の向上
  より迅速かつ確実にお客様の声を設計に反映するために、設計部門は苦情内容の理解 に努める必要があります。

重大な苦情の場合は、品質管理部門と協力して、原因究明を行必要があります。

3.設計検討項目の見直しをおこなう。
  設計部門内での従来から行っている設計検討も、リコールを踏まえて、見直しをおこないます。

4.設計検証項目も見直しを行う。

   他部門で行う設計検証も同様に見直しをおこないます。

  特に、品質管理部門では、具体案を出して推進するべきです。