品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

5Sで品質改善②

日本の製造業は、現場でのいろいろな活動が現場力となって、今の実力を保ち、進歩させて来たと思います。
 その中でも、いろいろあるのですが、今回は再度、”5S活動”について、お話したいと
思います。そして、以前のような品質改善に加えて生産工程改善も絡めてお話したいと思います。
 この5S活動ですが、日本生まれの生産効率化活動です。生産効率化とだけ呼ぶとお叱りを受けそうですが、経営効率化活動と呼ぶ人もいます。
 今では、世界的にも普及し、また活用されています。 
5Sとは、 
 整理------要るものと要らないものを区別して、要らないものを処分する。 
 整頓------要るものを使い場所にきちんと置くこと。 
 清掃------身の回りの物や職場をきれいに掃除して、いつでも使えるようにすること。 
 清潔------整理・整頓・清掃を維持し、きれいな状態に保つこと。 
 躾---------職場のルールや規律を守り、習慣づけること。 
 と言われています。 

  また、5Sが出来ていると    
     
(1) 在庫が減り、倉庫、事務所スペースの有効利用ができます。    
(2) 道具、備品が所定の場所に在ることがすぐわかり、探す時間が減ります。    
(3) ホコリや油がたまることがなくなり、機械、備品が故障することが減ります。    
(4) コミュニケーション不足で連絡ミスすることが減ります。    
(5) 整理・整頓されていることで、安全性が向上します。    
(6) 職場が綺麗になることで、気持ちよく仕事ができるようになります。    
(7) 以上から、効率が良くなり、原価低減に繋がります。    
     
 簡単に言うと、ムダな経費や時間が減り、儲かります。     
儲かるから各社が行っているのであり、また普及しているわけです。

また、5Sの目的は     
1.  整頓ができていると、金型や治具、工具などを誰でも探し出せ、段取り変えの時間    を短縮でき、多品種化などにも対応しやすくなる。    
2.整理することで、過剰在庫や過剰な置き場をなくし、問題を表面化できます。    
3.ムダをなくすことでコストを削減できます。    
4.決められた場所にある部品を使い、決められた治具を使い、決められた作業を行うことで不良が削減されます。    
5.治具や機械の掃除をすることで稼働率が上がります。日常の手入れと点検で故障げ削減されます。
6.整理することで、今の作業に必要なもの以外は出ず、納期を明示して納期遅れをなくします。
7.5Sを行うことで安全が保たれます。

 などが言われています。
 ようするに、5S活動は生産性改善、品質改善などの基礎になるものなわけです。 

ただし、5S活動を始めようとする場合はいきなり、原価低減などを期待すると、ガッカリするかもわかりません。最初の一年くらいでは、なかなか結果が見えないことが多いようです。
 しかしながら、多くの工場の現場を見てきて感じるのは、5Sが出来ている工場では不良の発生も少ないことです。反面、5Sの出来ていない工場では、一見すると活気があっても、見た目も雑然としていて、また、意外に不良の発生も多いものです。
 5S活動を始めるならば、3Sから初めてはどうかという、記事も見かけます。3Sとは、整理、整頓、清掃ですね。5S活動自体には、普段の業務の合間に、そんなに時間を掛けるわけにはいかないので、まず、3Sから初めて、3Sの習慣が付いてから、5Sに移行してはどうかというものです。たしかにいきなり5Sを始めるというのは、結構な負担なので、ステップを踏んで行うほうがよいような気もします。5Sが当たり前に行われるようになって、そこから、ムダな業務の原因追究を行い、ムダを省く。汚れの原因追究を行い、汚れを省くことで、清掃しなくてもよいようにする。これが本当の5Sであろうと思います。
 5Sは、生産性向上には有効であり、また、必須であると思いますので、経理とも相談して、5Sの成果を数字で表せるような仕組みが欲しいと思います。勿論、5Sパトロールでの評価も見える化して、成果、進捗を実感すべきだと考えます。
5Sは生産性向上、経営効率化向上にも貢献し、勿論、品質改善にも貢献する活動なので、大切にしていきたい活動です。しかしながら、あまり時間を割くとやる気も失せますし、業務効率も下がる可能性のありますので、簡潔に、ポイントを押さえて行うべきだと思います。

 製造現場では、5Sが基本だと思います。5Sが出来てこその生産性向上であり、品質改善だと思いますから。