品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質管理に必要な統計知識

 品質改善を行う際に、統計的知識は必要か。
この質問には、はっきり答えることは難しいですね。
企業によって品質管理のやり方が違うので、一概に言えないような気がします。
 他の企業のやり方をあまり知らないので、私の会社の話をします。
10年程前になるでしょうか。新しく、品管部長に就任された方が外部の色々な品質管理の講習を推奨される人でした。現状のやり方に不満があったのだと思います。
 QC七つ道具であったり、新しい手法の講習会であったり。指名された人もいたようですが、私は声がかかることもなく、日常業務では、あまり変化はありませんでした。
 しかし、1年程してから、品質保証担当で、中途入社の方が入ってきてから、さかんに工程能力が話題に上るようになりました。この人は、前社では、工程能力を工程の品質評価として当たり前に使用していたということでした。
 それから、新製品の立ち上げ時には、工程能力を一定以上クリアしていること、という基準が設定されるようになりました。
 それからは、工程能力の復習です。いや、勉強です。ほとんど使ったことがなかったのですから。
工程能力指数というのはExcelで計算できるらしい、とかいう話が伝わり、工程能力指数を計算するexcelファイルが紹介されるようになりました。社内イントラネット掲示板に掲載されているので使え、ということなのですが。
 工程能力指数ということになると、最低の知識として、
 
1.正規分布というものを理解すること。
  (例えば、測定したデータは、正規分布のように、バラツクらしいということを憶える、
   理解しなくてもいいです。)
2.データのバラツキの程度を知るために、標準偏差を計算すること。
   (バラツキの程度は標準偏差で掴めるらしいと憶える!)
3.工程の品質の程度を掴むために、工程能力指数を計算する必要があることを憶える!
   (工程能力指数は標準偏差と規格の上限と下限で計算される、詳しい人が作ったExcel
    ファイルで計算できることを憶える!)

でしょうか。

 以上のことを憶えれば、統計の知識はなくとも、とりあえず工程能力指数を計算して
工程の品質の良し悪しを判断でき、製造に対して改善して下さいといえます。
統計の知識の最低ラインですが。
 後は、Google先生に訊いたり、品質管理の実用書を覗いて、知識の肉付けを行うことになるかと思います。私の周りは工学系の人が多かったので、文系の人の苦労はあまりわからないのですが、どうなのでしょうね。
 といっても、私も元々は電気工学なので、統計など、系統だって教わった記憶はないのですが、どうなのでしょうか。仕事では、理解するよりも、とりあえず、慣れろでやってきました。
 ただ、理解できていないと、つらいのは確かですね。仕事である限りは、まず結果を出さないとしょうがないのですけど。
 QC七つ道具なども、個人的には書物で勉強しましたが、どういうときに使うべきか、ということがあまりわかりませんでした。現実の問題にぶつかった際に、どうしたら解析できるのだろうと悩んだときに、Google先生に教えてもらった、というのが本当のところです。重点指向にはパレート図がよいとか、現象の見える化で理解しやすくするにはグラフ化がよいとかですね。まあ、せっぱつまらないと、本気で理解しようとしていないのかもわかりません。
 そいう意味では、部門の方針や、現実の問題で否応もなく勉強するというのが、統計の知識に限らず、そういったものかもわかりません。結論としては、何が必要なのかではなくて、必要なものを勉強するしかない、という経験論になってしまいました。