品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質管理と数値化

 品質改善を行う際に、数値化というのは重要だと思います。
無理やり数値化するのは問題ですが、数値化できると、後々のデータ処理が飛躍的に向上しますし、関係者の理解の共有がしやすくなります。逆に言うと、数値化できていないと、共有できていない可能性があるわけです。
例えば、果物の糖度ひとつとっても、糖度計で「○○度」と確定できるからいいようなものの、現物を食べてみて、確認しても、みんな同じものを食べている保証はないわけです(それぞれバラツキがあると思われるので)。
そこで、数字で出せれば、目標を決める場合も、決めやすいですし、数値化できるのであれば、数値化すべきでしょう。
また、官能評価するような品質についても、ある意味「見える化」できるわけです。

さらに、品質上の問題をはっきりさせるときに、数値化して、明確にしていくことは多いものです。
また、グラフ化やいろいろなQC手法も、数値化できていると使いやすくなるのは事実です。
 勿論、元々、数値化しにくいものもあり、その場合はまた別のQC手法もあります。
 ただ、数値化できるものは、数値化すべきでしょう。
 私の経験からも、問題点となる事象を数値化すると、今後の対応が明確になります。
 例えば、以前、部品ユニットの密閉性が問題になったことがあります。防水で、苦情が多発したのですが、苦情品の密閉性を確認していませんでした。簡単にチェックできる器具がなかったからです。
  試作品などをチェックする器具はあったのですが、確認するためには、製品に穴を開けて確認する必要があり、なかなか大変で、苦情品に適用するには、時間的にも大変で、チェックできていなかったのです。
  しかし、苦情品がどれ位の耐圧があるのか、確認すべきだと思い、簡便に使用できる、治具を作成することになりました。
 それからは、苦情品が返ってくるたびに、耐圧を確認し、数値で確認することで、規格に対してどれ位すくないのか、規格ぎりぎりなのか、確認することができるようになりました。
   結果的に、規格ぎりぎりの苦情品も以外にあることがわかりました。
  そこで、規格そのものを引き上げて、余裕を持たせることにしました。これは、製造のバラツキも考えて、多少のバラツキがあっても、OKとなるようにしようということからです。
 このように、問題となっている現象を、数値で捉えることは大事です。バラツキの状態とか、規格の余裕の有る無しなども、明確になります。もめている現象こそ、数字で捕まえることでしょうね。また、バラツキの具合や、規格との余裕などもしっかり把握するべきです。
 しかしながら、数値化するためには、道具が必須となります。そういう意味で、品質管理というのは、測定機器、治具をいかに揃えるかということも、非常に大事です。勿論、このことも品質管理部門だけで出来ることではなく、関連部門(生産技術など)や
付き合いのある測定機器業者や、測定機器の展示会なども覗いてみるなど、そういった情報も仕入れていくべきだと思います。
 個人で入手できる情報は知れているので、色々な方面にアンテナを張っておくべきだと思います。こういった情報を掴んでおくことで、必要となった確認方法が、適正な経費で実現できるのかどうかというようなことも判断できるようになっていきます。