品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

設計品質について

 品質には、「設計品質」と「製造品質」があると言われます。
「設計品質」とは、顧客にとって魅力ある性能や機能やデザインを具体的に考え、これをあらわした仕様書や図面の品質になるとされます。これは企画・開発でつくり込む品質で、企画部門や開発部門、営業部門が担当します。
 これに対して、仕様書や図面通りに過不足なくつくるのが「製造品質」です。
これは現場でつくり込む品質であり、製造部門が担当します。
 つまり、企業は高い設計品質と高い製造品質を合わせた「高い総合品質」を狙うわけです。
 
 こういった理論といいますか、ストーリーは単純で明快みたいですが、現実はどちらも関連していて、絡み合っているわけです。
 魅力ある性能や機能やデザインを実現しようと思えば、使用する部品は高価で扱いにくいものになりがちです。また、製造技術が複雑で高いレベルのものが要求されがちです。当然ながら、製造品質のレベルは下がりがちになります。要するに、不良が出やすくなります。
 新機能を採用するとなれば、当然ながら、製造部門、品質管理部門も相談され、いかに安定的に、素早く製造するかということを検討します。当然ながら、コスト削減の検討も行うわけです。
 ここで、開発・設計部門としては、製造の仕方については、もう、製造部門にお任せとなりがちです。仕様書・図面通りに作ってくれるなら、どう作ってくれてもいいよ、ただ、出来るだけ安く作ってね、という思惑です。
 かたや、製造部門としても、扱ったことのある部品ならともかく、初めて扱う部品だと、まず、どう扱ったらいいのかということから検討しなければなりません。そして、製造の仕方についても、設計・開発部門ではそれなりの情報を握っている場合が多く(製造方法がまったくわからなくては設計も出来ませんから)、いちから検討する製造としては不満もでるわけです。製造の仕方がわかっているなら、決めてよ、となるわけです。ただ、設計・開発部門も一応の製造方法を聞いているだけで(新規部品の入手予定先や商社などから)、自身があるわけではありません。
自社の製造工程に最適化どうかはわからないわけです。それは、あくまでも製造部門で責任持って決めてよ、となるわけです。
 以前、私が開発部門にいた際は、設計部門が最後まで、製造部門と連携して決めろ、と言われていました。
 しかし、品質管理担当として係わっている別の事業部では、どちらかというと、製造に関しては製造部門が決めろ、という方針です。
 実際のところ、協力して進めないとしょうがないのかな、という思いがします。
 
 例えていえば、作った橋が落ちてしまったら、設計責任だ、製造責任だ、品質基準が悪かったと言っていてもしょうがないわけですから。

 勿論、設計品質に関しては、設計部門が主導して決めるべきでしょう。
また、製造品質は製造部門が主導して決めるべきでしょう。
さらに、品質管理部門はどちらも、検証して判断すべきでしょう。
 そして、そのさじ加減は企業によって変わるように思います。

 ただ、はっきりしているのは、お客様に渡る時点で、問題を起こさない製品になっているのかということを、各部門の人間が真剣に検討しているか、ということです。