品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

後工程はお客様

 これは簡単にいうと「お客様に接するときと同じような丁寧さで、後工程の担当者が業務を進めやすいように自身の業務を引き渡す」ということです。「 次工程はお客様」という考え方が実践されると、業務を引き継ぐ次工程の担当者は、効率よく業務を行うことができるようになります。
 また、作業ミスも防止できるなどさまざまな効果があります。2016/03/12
自分たちの仕事を引き受けてくれる後工程(または、外注先)はお客様です。
「お客様である“後工程”に喜んで頂ける製品やサービスを提供すること」が大事です。
なぜ、同じ会社であっても(外注工場であっても)、後工程はお客様の考え方が必要になるのか?

 社内同志や協力工場との関係では、自分達の都合を優先した考えになりがちです。
自分達の都合を優先してばかりいると、いずれお客様に見向きもされなくなってしまうため、絶対に避けなければなりません。
 一般的な、取引ではそういうものです。お客様の都合を優先しなければなりません。
また、良い品質を最終的なお客様に届けるためには、全ての工程、全ての関係者が、
自分の仕事での責任を果たすことが大切なのです。
 自分の仕事での責任を果たすには、まずは、「次の工程に払い出す製品の品質を保証」
しなければなりません。なぜならば、前工程の品質が悪ければ、後工程で品質の良いものを作り出すことはできないからです。
 従って、後工程も「前工程からは品質の良いものしか受け取らない」という意識を持つ必要があります。
つまり、後工程は前工程に対して正しい品質の要求を行なうこと、そして気が付いたことは前の工程に必ずフィードバックすることが大切です。
 最初の工程から最後の工程まで、全員がこの考え方で仕事を行えば、必ず品質の良い製品を作り出すことが可能です。これがお客様の声を全ての工程が意識し、お客様を考えたものづくりをするために必要不可欠な考え方となります。

 次のような考え方を持っていないでしょうか。

〇最後に検査工程があるから、不良はそこで止めてくれるだろう。
〇不良があったら後工程の作業で気付くので大丈夫だろう。
〇自分の工程だけで精一杯、後工程のことまで考えられない。

 このような考え方をしている人がいる職場では、不適合品がお客様へ流出してしまい、
大問題に発展してしまう可能性があります。
 まず、自工程で保証すべき理由の1つ目を確認します。
モノの製造やサービスの提供では、失敗はつきものではあるものの、不具合が出るたび、それ自体は全て損失となります。
そして、製造工程では、後ろに行けば行くほど、付加価値が付いていきます。
つまり、後工程ほど、不具合発生時の損失や影響は大きなものとなるのです。
従って、「前の工程で起きた不具合も最終検査で止めればよい」という考えではなく、
品質を各工程で作り込むという考え方が非常に重要になります。
不具合は出た工程で必ず止め、後工程には絶対に流さないという考え方が、
損失を最小限とするために必要不可欠です。

 次に、2つ目の理由を製品のキズで考えてみます。
1つ1つの工程において、キズがついたとします。
このキズは、特定の場所に出来る訳ではなく、日々状況によって変わります。
そして、このキズが大きい場合や数が多い場合、ある数や大きさが限度を超えると不良となってしまうわけです。
最終的には顧客にまで不具合品が流出してしまうことがあるのです。

流出を防止するためには、Ⅰ個Ⅰ個のキズを最小限にする製造プロセスづくりが必要不可欠です。
キズの大きさを小さくすること、数を小さくすること、つまり自工程で保証できる体制を築くことが、流出防止の鍵となります。

当然ながら、不良品が顧客に渡ると、会社の信用が失墜します。
失墜した信用を取り戻すまでには、何十年という歳月がかかります。
二度と信用が戻らずに事業を続けられなくなることすらあります。

ものづくりに関わる全社員が、後工程はお客様と考えて、自分の仕事に責任を持って対応することが求められているのです。

続いて、後工程はお客様という考えを満足させる為のポイントを確認していきましょう。

まずは、「後工程の立場で物事を考える」ことです。
後工程に、「どういうものを提供したら仕事が楽になるか」を考えるようにするべきです。
自分達が前工程からどんな物を受け取りたいかを考えると、答えが見えてくるはずです。

次に、「コミュニケーションを良くする」ことです。
発生した不具合内容等を、素早く確実にフィードバックすることが大切です。
言葉だけでなく、現物や写真等を活用し伝達することもポイントです。

最後に、「良否の判断基準を明確にする」ことです。
良否が曖昧にならないように、判定基準を明確に決めるようにしましょう。
担当者によって判断が曖昧にならないような基準をつくることがポイントです。

会社全体で「後工程はお客様」という意識を統一する

 自工程で品質を保証するためには、まずは会社全体で「後工程はお客様」と
いう意識を統一することが必要不可欠です。

後工程はお客様という意識を全社員が持つことが、品質不具合を減らし、
職場のチームワークを生むことに繋がります。そのことが、自工程のためになり、
そして、結果的に会社のためになるのです。

 「後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供する」という考えを持つことで、
工場の中でも顧客を意識したものづくりが連鎖していきます。

 このような最終的なお客様を意識したものづくりが、品質の良い製品やサービスを
生み出す一番の近道になることをしっかりと認識して、ものづくりに携わっていきましょう。