品質不祥事で品質保証担当者はどうしていたのか
最近の品質問題の不祥事を見ていると、品質保証の関係者からの、改善のための行動が見受けられません。そこまで取材が及ばないのか、企業が取材に応じないのかはわかりませんが。
しかし、不祥事が起こっていた際に、品質保証担当者が、どうしていたのかが気になります。
企業によっては、品質保証担当者も加担していたようにも聞いているので、残念にも思います。
品質保証は、社外に出す製品の品質を保証することです。
その品質保証部門が不祥事に加担していたとなると、話になりません。
どうしてそうなるのでしょうか。
ここからは想像になりますが、おそらく、単純に言えば、そうしたほうが出世するからだろうと思います。
経営陣や他部門の意向に沿って行動したほうが、出世すると判断したから、そうしたのでしょう。
これはもう、経営者の責任です。
経営者が意識していたか否か関係ありません。
「私は知らなかった」とか、「そんな気はなかった」、「言ってくれれば考慮したのに」などという言葉は言ってはいけないことです。
品質の劣る製品が出てきた際、品質基準を一時的に下げたり、検査結果を修正して不良品を無いものとすれば、廃棄するために必要な費用は要らなくなり、また納期も余裕を持って納められるかもわかりません。
しかし、それはお客様を裏切ることであり、一度そういうことをすると、次からも同様のことを求められます。
というのは、営業や製造からは、「前回はOKしてくれたのに、なぜ今回はダメなんだ」と言ってくるからです。
こんなことをやっていると、品質は下がる、ブランド力は落ちる、詰まるところ、今回のように社会的信用も無くすことになります。
これは、トップからの方針として支持し、号令をかけないと、変わらないと思います。
また、繰り返し指摘していかないとすぐには変わらないかもわかりません。
他の製品も似たようなものなのかもわかりませんが、ユーザーが使用して不具合がわかれば、苦情として返ってきます。
そういう意味でのフィードバックが改善に役立っている面はあるかと思います。
逆に言えば、苦情の来にくい製品は改善されにくく、品質が劣化しやすい面があるのかもわかりません。
ただ、苦情がないから勝手してもいいということにはなりません。
このような企業も最初から、不正を行っていたのではないと思います(そう信じたい)。最初の不正は、合格と不合格の差が小さいものだったと想像されます。これは不合格だが、限りなく合格に近いものだし、納期もせまっていることだし出してしまおう。その後、何の苦情もないし、まあいいか。その不正がだんだんと合格のレベルの巾が大きくなっていったのではないかと想像するわけです。もちろん、本当のところは解りません。私のたんなる想像です。
新幹線の台車の亀裂の件は、関係者は新幹線に乗らないのかな?と疑問に思うのですが、そういう感覚が麻痺していたのでしょうか。自分の家族が乗っているときに事故が起こったらどうしようなどとは思わないのでしょうか。 担当者からそういう意見は出ないのでしょうか。また、そういう意見が社内で出てきた際に、経営者まで届くようにはなっていないのでしょうか。非常に不安に思います。結局のところ、”品質優先”、”顧客優先”ではなくて、”利益優先”だったのでしょう。結果、今となっては、”利益”も”大赤字”となってしまったわけですが。
日産やスバルの無資格検査の件は内部告発とのことで、まだ、まずいことをしているという感覚はあったのかな、と思います。正社員であったのか、派遣社員であったのかはわかりませんが、少なくとも、ルール違反をしているという意識はあったわけですね。