品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質管理の目的

品質こそが経営の目的だ、という人がいます。

 品質とは、製品・サービスを通して提供される価値に対する顧客の評価であるといわれます。                
 つまり、製品・サービスの品質こそが経営の直接的な目的となるというわけです。    
 そうでなければ、品質管理・品質保証は単なるトラブルシューターか、お目付役に過ぎません。
 これではモチベーションも上がりませんし、会社に対する貢献度を実感できないのが、本当のところです。
また、本当の品質改善もできないでしょう。

 結局品質管理の目的は、お客様満足度を上げることだと思います。

 そして、それは、企業の目的でもあるのだと思います。

 ただ、こう言った正論を理解している経営者はどれだけいるのでしょうか。
昨今の品質問題を見るにつけ、そう思います。

 品質保証の目的は利益追求だと思っているように思います。ムダを省いて企業の利益に貢献することが品質管理、品質保証の仕事だ、というわけです。

たしかに利益は大事です。利益が出なければ、従業員に給与・賞与を出せません。

株主に配当を出せません。

当然、株価も下がるでしょう。

 しかし、当座の利益が出ても、マーケットの支持を得られない製品・サービスは、

いずれ廃れ、利益も得られなくなるのではないでしょうか。

 こういったことを理解しない経営者に意見具申したらどうなるでしょう?

 「うるさいやつだな」とか「人が利益増大に必死になっているのに何を
言っているんだ。」と言われるか、言われるのではないかと思ったら、何も
言えなくなるでしょう。
 こうして品質は軽視され、利益のみに目が行ってしまい、果ては品質問題を起こす、という負の連鎖が発生するように思います。

 ここまで行かなくても、品質は、品質管理、品質保証で適当にやっておいてくれ、と思っている経営者もいるかと思います。この人たちの優先順位はあくまでも利益なのです。四六時中、利益の事ばかり話していると、昨今、品質不正を犯した人達のように、利益追求のみが目的になり、果ては不正なことでも実行してしまう、ということが起こりえます。経営者としては、そこまで望んでいなくても、突っ走ってしまう部下が現れます。それは、企業の目的を理解していないからだ、と思います。

 やはり、これは原点に返って、顧客の価値を提供することが企業の使命なのだと胆に銘ずるべきではないでしょうか。そして、全社的に再確認すべきなのです。そうしないと、品質の事を口にしなければ、品質の事を考慮しなくていいんだ、いや、考慮するべきではない、と勘違いする人が出てくるわけです。実際に出てきているわけです。

 もちろん、営利企業として、利益が出なければ継続が出来ません。利益というのは企業は生きていくための血液です。それなしで継続、繁栄していくはできません。しかしながら、優先順位をまちがえてはいけないということです。

 企業としての優先順位をはっきり、全従業員に周知徹底すべきではないでしょうか。

 そうしないと、理解しない人たちが出てきます。「口に出さなくてもわかってくれる。」ということはありません。口に出さないと解ってもらえないのが現実です。

 また、文書で示さないとすぐ忘れてしまうのが人間です。

こういったことを、文書で表し、従業員や関係者に明示して、誤解されないようにしていくためには、やはり、ISO9001のような品質管理マネジメントシステムが必要だと思います。

 ISO9001が良いんだというわけではありません。別のシステムでもいいと思います。しかし、こういった品質を管理するシステムがないと、なかなか品質を維持・管理していくことは難しいのではないかと、思う今日この頃です。