品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

IHI品質問題のカイゼンについて


IHIの問題は、現在日本中で結構存在する問題なのかもしれない。

仕事量は増えるが、人を増やせない、いや増やしたくないのかも知れない。

目先の仕事量の増大と検査員の少なさという問題をどう解決するのか。単純に考えれば、検査員増員計画を立てて、計画に従って粛々と進めていけばよいように思います。    新たな検査員候補者たちの訓練計画を進めていけばいいわけです。しかし、そうはしなかった。私には、わかりませんが、部門を超えてのバックアップ体制を敷くことはやりたくなかったのか、一時だけの業務増大は乗り切れるという判断が、上と現場で判断のズレがあったのかは解りません。

 しかし、資格のない従業員を資格のある検査員にしたてて、それだけでなく、本来の検査手順を変えて(おそらく、検査時間の短縮化のためだと思いますが)、乗り切ろうとした。そこに、コンプライアンスという考え方はなく、また”品質重視”、”顧客第一”という考え方はなかったようです。

 このように、企業としての問題を解決する「カイゼン」を行うことは難しいことだと思います。

各部門単体でできることではないから。

全社で(経営層の判断で)方針を決定して実行しなければならない。

しかし、利益追求とは違い、品質追求となると、品質関係者で善処してくれとなってしまうことが多いように思います。

へたをすると経営層も、品質関係者にまかせた、となってしまう。

はなはだしい場合は、「カイゼン」してほしいが、人は増やせないよ、お金はだせないよ、となってしまう。

本当に大事なものを見失っているのではないだろうか。

QCDを追求することを忘れているのではないだろうか。

仕事の環境、条件などが変化したら、結果(利益、損失、業務の効率低下など)が変化する。

周囲の環境、条件などの変化から、最適(もしくは現状より良い結果)となるような処置を行うのが、「カイゼン」だとかんがえます。

しかし、「カイゼン」を関係部署内で推し進めるか、事業部として行うか、場合によっては全社をあげて行うかは難しい判断です。

このことは経営陣の考えることだと思いますが、今回、IHIは経営陣が真面目に考えていなかったように思います。

経営陣は現場の実態をしらなかったのかもしれない。

 しかし、結果論から言えば、「知らなかった」では済まされません。

 結果的に記者会見で「申し訳ありませんでした」と言わなければならないのは、経営陣なのですから。

ではどうすればいいのか。

確かにコンプライアンスを重視して、全社的に教育・啓蒙を行い、業務改革を行っていくのは大事です。

しかし、その前に「品質重視」、「お客様第一」の意識・考え方を再確認・見直すことが最も大事ではないでしょうか。そこから、業務増大、検査員不足という状態の中で、納期に間に合わせるための、「カイゼン」の方法の最適な解決方法をもう一度検討し、全社的に示すことが大事ではないでしょうか。そこで、やってはいけなかったこと、やるべきだったことを具体的に示して、従業員に周知・徹底することが大事ではないでしょうか。そうしないと、また、別の問題で躓いてしまうように思います。今回の問題もある意味、「カイゼン」の大きなチャンスなわけです。大きな代償を払ったわけですから、大きなリターンを得るべきなのです。大きなリターンとは、「問題改善の本来あるべき姿を標準化すること」だと思います。今後、別の問題が発生した際に問題を最小損失で解決すること(また、出来れば発生する前に未然に防止すること)のための標準的な解決方法のマニュアルを作成すべきです。また、同じような問題で悩んでいる企業も、IHIと同じ羽目にならないように、真剣に、検討し対策案を作成すべきだと思います。