品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質不正があるかないか確認する

 IHIや他の企業に見られるような品質不正について、品質管理や品質保証の人間としてできることは

  1.品質不正を発見すること。
  2.品質不正を是正することです。

 1.の品質不正を発見することはなかなか難しいと思います。
 というのは、客観的事実を見つけるのはなかなか難しいことだと思うからです。
  例えば、検査資格のないものが、検査を行っていたとして、検査記録だけを見ると
 当然ながら、検査資格のあるものの印鑑を押しているでしょう。
  また、検査資格のないものが検査を行っていたとしても、資格の有る者が一緒に導しながら行っていたと言えば納得せざるをえません。
  資格のないものが、一人で検査している現場を押さえない限り、無資格者が検査を行っていたとは言えないわけです。
 また、現場に見に行っても、検査員資格の有無をよく知っていればすぐわかりますが、そうでなければ、検査員資格リストを出してもらって調べることになります。

 よほど事前の準備と監査の計画を立てないとできないことです。
 そもそも、無資格検査という不正を疑うということの発想が、なかなか出てこないと思います。
 ここのところが一番難しいというのか、まさかというところかもわかりません。
しかしながら、今回の件をきっかけに、万が一を想定して検査員の業務状況と検査全般の日程を基に、検査スケジュールから確認してみることも必要かもわかりません。

ある検査員の検査スケジュールが集中していれば、おかしいわけです。また、無資格者の作業日報を調べれば判る場合もります。検査業務とは書いていないでしょうが、代わりに何をしていたか見ることで、おかしいと思うことはあるかもわかりません。

 次に、検査手順の変更ですが、これも、検査に立ち会ってみていればわかりますが、そうでなければ、標準の手順で行っていましたといわれれば、納得するしかないでしょう。必要とする設備が判っていて、設備の使用状況と検査の日時の関係で、使用順や、稼働日時(検査時に使用していないなど)がおかしい場合は確認すべきです。

また、疑わしいが確信が持てない場合は、立ち会うしかないでしょう。

次に、検査データの改ざんの問題です。

 これも、疑いを持つというのが一番難しいと思います。
 しかし、疑いが出てきたのなら方法はいろいろあります。

  数値データなら、分布グラフを描いてみると、正規分布からズレている場合は
 詳しく調べてみることです。
  工程能力と不良率の間には、相関があるのが普通ですが、相関の仕方がおかしいとか。
 より詳しく調べるなら、現行流れ品を直接検査してみて、平均値、ばらつき、分布図などを、検査データと突き合わせてみれば、ある程度推測できます。

 品質不正があった場合のリスクを考えるならば、一度、進言して、行ってみるべき

かもわかりませんね。

  以上のようなことは、監査時には、相当程度、突っ込んで調べられると思います。そういう意味で、やはり、検査業務の監査も1年に一度程度は行うべきでしょう。こういった、他社の不祥事に関連して抜き打ちの監査が出来るのであれば行うべきでしょう。さらに、検査員の業務をできるだけ、上司が把握できるような、工夫も考えるべきでしょう。

 また、検査員と製造部とのなれ合いを起こさないためにも、検査員の担当製品の変更も数年単位で行うべきかもわかりません。

 これらの、不正を発見した場合はしっかり、是正を行わなければなりません。

不正が行われていたとして、どうしてそうなったかの原因を知らないといけません。といいうのは、出来れば誰も進んで行いたいわけではないでしょうから。(稀に、進んで行おうとする人もいますが)

 原因を探って、原因を取り除くか、解決策を出さないかわり、また起こります。やむに已まれずの結果でしょうから。しかし、不正の原因はしっかり根治しなければなりません。