品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

協力会社の品質監査で不適合が出た時

 品質管理体制の見直し、改善の切っ掛けとして、
協力会社(あるいは協力工場)の品質監査で不適合が出た時、があります。
 一般的に協力会社の品質監査の目的は、協力会社の品質管理体制を確立することです。
そのために、協力会社の実態を把握して、自社のレベルまで上げることです。
 ただ、小さな協力工場の場合、社長の品質意識によって、9割くらいは決まってしまいます。
社長の品質意識が低い場合は大変です。当然ながら、大半の社員の品質意識は低いでしょうし、品質改善の忠告をしても、ほとんど受け入れてもらえないでしょう。
 こうなると、一品質管理担当者では、どうしようもなく、上司や直接の発注者である製造部担当者や製造部の管理職を交えて、協力会社の社長を説得することから始めなければなりません。
 現状の協力会社の不良による損失(金額がよい)や自社の損失を具体的に説明し、目標不良率を示し、改善のお願いをします。その際の協力も約束しますが、協力会社での自助努力は約束して貰わないとなりません。それが出来ない場合は取引の打ち切りも検討しないとなりません。
 改善の合意ができたなら、QCストーリーを作成して、一緒に改善計画を立てることになると思います。
 まずは、現状の把握から始まるのですが(といっても、こちらから見た現状の把握は終わっていると思いますが)、協力会社のコア・コンピタンス(強み)をしっかり再確認することも大事です。
それこそが、業務をお願いしている理由だと思いますので。
 コア・コンピタンスを補強し、弱点を改善していくということになると思います。
 現状把握については、品質監査のためのチェックリストを作成し、数字で把握して、協力会社の方にも納得していただく必要があります。これは、協力会社の方に納得していただくための意味合いもある品質監査です。
 できれば、他の協力会社の監査結果と比較して示し、強い所と、弱いところを理解していただいたほうがよいと思います。

 こうした品質改善活動を行っていただく中で、品質意識を持っていただき、品質改善

の技術(QC七つ道具、工程能力指数など)も理解していただいた方がよいでしょう。

 ここで気を付けないといけないことは、協力会社の強みは解っていると思いますが、協力会社の方から詳しく引き出すべきです。というのは、協力会社の方々は、自社の強みを意識していない場合が多いものです。何も言わなければ、せっかくの強みも潰してしまうことがあるからです。自己申告していただくことも大事ですが、監査を通じてのやり取りの中で強みと弱みを明確にし、強みはさらに増幅させ、弱みは補強していくようにすべきです。強みを自覚していただくことで、増長されては困りますが、お互いに公正な目で評価したいものです。そうすることで、こちらがさらに求めることも理解していただけると思います。

 こうして品質改善の結果、損失が減少していくことを身をもって実感していただく

ことが大切だと思います。