品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質改善時の標準化について

 ここで品質改善と標準化というものを考えてみたいと思います。
品質改善と標準化は、セットで言われることが多いものです。
通常は、工程不良や製品苦情などの品質問題を改善した際に、作業方法や設備の設定条件を変更し、作業標準書の内容を変更することで、終了とすることが多いようです。
通常のやり方を変えて(改善して)、新しいやり方を当たり前のように出来るようにする、ということでしょうか。
勿論、訓練が必要な場合は、訓練を行います。
 
ここで標準化の目的を、もう一度考えてみます。

1. 「製品品質の安定と向上」
バラツキの少ない製品の品質を向上させるためには、製造の4M(人・機械・材料・方法)の変化点管理が必要です。各工程での材料・機械・方法・作業者の変化点管理が必要で、そのために標準化が必要となります。
状況が変わったら、その状況でベターな条件にする、ということでしょうか。

2. 「コスト低減」
コスト低減には、様々なムダを減らすことはもちろんですが、部品や材料の種類・個数を減らすことも必要です。部品や材料の種類・個数が低減できれば、工程、設備、置き場、倉庫、搬送などの低減ができます。
さらに、部品の互換性を持たせることで、設計・加工・修理などで大幅な費用削減になります。

3. 「能率向上」
仕事の進め方が標準化できると、業務の覚え方がより簡単になるので、今までの教育時間よりも短縮しても同じ質の仕事ができるようになります。作業を標準化することで、仕事のポカミスも減りますので、作業能率も大幅に向上します。

4. 「納期短縮」
標準化することで、ムダな部品管理や工程を省くことが可能となり、製品品質が向上・安定すれば、手直し品も低減し直行率も向上します。納期の短縮につながります。


そして、標準化で得られるメリットは

① 技術の蓄積     ・・・個人が習得した固有技術を、企業としての技術として蓄積  できる。
② 技術力の向上    ・・・蓄積された技術を基礎にして、より技術力を高めることができる。
③ 品質の向上     ・・・安定した品質で製造できる。
④ 仕事の進め方統一  ・・・会社として仕事の進め方が統一でき、部門間の連携が良くなる。
⑤ 品質不良コスト低減 ・・・設備保全や品質不良の予防により、品質不具合の未然防止ができる。

 ただ、製造工程の改善や図面の改善についての改善理由について、記録を残して置かないと、担当者が変わったりした場合に、解らなくなってしまう場合があります。「なぜ、そうしたのか」ということを、記録として残しておくことは重要です。
 例えば、プラスチック加工は非常に低コストで出来るので、いろいろな製品で使われていますが、これは、量産が前提なわけです。プラスチック加工には、多くの場合、金型が必要です。金型代は安いものでも、数十万円から、大きいものでは数百万円ほどかかるものもあります。これらの金型代が償却できるのは、数が売れるからです。そういった加工方法に関する条件も記しておくべきでしょう。
 このように、改善の前提条件となる諸々の状況を付記して、記録しておくべきです。時代が変わり、このような前提条件が変化することは、ままあることだからです。