品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

品質苦情が発生する場合

 苦情というのは、生産、提供側からは思いもしないことから発生します。
しかし、それは、後から考えてみれば、検討不足から発生することが多いものです。
そして、それは数字で確認すべきものだと思います。
 以前に、関連する業界ではありますが、今までおつきあいしたことのなかったメーカーと新規の製品を共同開発で出しましょうということになり、企画しました。といっても、ほとんど、相手の業界の製品のアレンジであり、こちらからすると、ほとんどOEM製品であるようなものでした。生産も相手方にお願いしました。ただ、使用環境はこちらの業界のものであり、製品の使用環境の品質基準は「このような基準を守ってもらいたい」ということで提出しました。製品化の終わり、納入検査も無事終了して、出荷となりました。
 ところが、出荷後、1か月くらいして、不具合苦情が何件か報告されたわけです。
正直、こちらでは、よくわからず、相手に苦情品の解析をお願いしました。
 結果、低温で不具合が発生することが判りました。ここで厄介なのが、低温になっても全部不具合になるわけではないわけです。しかしながら、全体の3割位は不具合になるような結果でした。納入検査で一応確認はしたのですが、異常は見られませんでした。バラツキのあることですが、たまたま、検査した数セットがOKだったようです。
 では、相手方の出荷検査はどうであったのかということですが、低温テストはしていなかったということが判りました。
  ここで初めてわかったことですが、似たような業界ではありますが、相手方の環境条件では低温の条件が違っていて、もっとゆるかったようです(低温温度がもっと上だった)。しかし、相手の方も同じような環境だと思って、低温検査は自社条件で行っていたわけです。
 最初の条件確認の際に、相手方がこちらの条件をすんなり飲んだせいで、同じような環境条件なのであろうと思ってしまったのが問題だったわけです。
  このような、自社の常識で相手方の常識を判断してしまうということは問題の元なのですが、気を付けないと間違ってしまうことがあります。
 他にも、製品に使用するためのセンサとしてどうですか、という売り込みにこられることがあります。
 その際も、使用環境や条件をよくお聞きしないと、使えるかどうかわかりません。
  以前に、車の中で使用しているセンサを売り込みに来られて、お話をしたことがあるのですが、耐衝撃性でムリだということで、お断りしたことがあります。「車のなかの過酷な環境で使われています。」と仰っていたのですが、衝撃性としては不足でした。この場合も、相手の考えている常識とこちらの想定している常識が合いませんでした。
 これは、製品に限りません。測定器や製造工程での制御機器でも同様です。お互いの考えている常識は違っていると、ほんとうに苦労します。当たり前ですが、詳細に数字で確認すべき事です。