品質の改善

品質改善について、経験上いろいろ言いたいこと

見える化

私は外注工場へ行った際に、現場で「何か問題はありませんか?」と 聞いてみることがありますが、「特に問題はありません」と答える工場が多いものです。今、緊急に問題を抱えている場合を除いて、このような返事が多いようです。では、何も問題がないのかというと、そういうわけではないようです。
この様な工場に共通するのは、仕事の遅れ/進み・品質の実績等、掲示物が少ないことです。
外部から来た私だけでなく、そこで働いている人にも現状が何も見えていないのではないか、と心配に思ったりします。
何も見えなければ問題が無いのは当然で、 改善活動の必要性も生じないわけです。
それに引き換え、品質が比較的良い工場では、現場に先月の組立ミス数などが書いてあったりします。そして、その横に「今月の組立ミス目標は○○件以下!」と書いてあります。もっと短いスパンで目標を見せれば、それだけで改善は進みます。1か月スパンで書いてしまうと途中で見直せないので、なかなか改善されないと思います。
  要するに「みえる化」(先月までの現状を見える化することと、改善目標を見える化する)することが改善の原点であり、「みえる化」無くして改善は無いわけです。
 私も、若い頃は、「見える化」なんてと、バカにしているところがありました。自分の席に戻って先月のミスの件数や今月の目標などを調べればわかるじゃないか!。でも、そういうことを、わざわざしないと解らないのではいけないんですね。製造の現場で常に知りたい情報が目に入らないと、判断ができないし、次の行動が取れないんですね。このように、「見える化」というのは、改善の基本です。
第一ステップかもわかりません。このように大事な「見える化」ですが、何でもかんでも掲示すればいいかというと、そういうわけにもいきません。あまりに掲示物が多いと、目移りしてしまって、重要な情報がわからなくなってしまいます。重要度を考えて、取捨選択も必要です。工場以外でも、品質で大きく注目するのは、次の3つの時点です。
設計開始時、量産開始時、変更点発生時。
この、3つの時点で品質に関して「見える化」して、確認・改善を行うことです。
それは、設計開始時のデザインレビュー。
生産開始時の初期品の流動管理。
(各工程で初期品は詳しく見ていくこと)
変更点発生時の工程変更管理。

 これらの時点での状況と目標を「見える化」することで、よりよい方向へ
進めることができるわけです。
 また、各企業、各工程での見える化のやり方には、経験や創意工夫が積み重ねられて、改善されていくのであろうと思います。そうすることで、日々、やり方は改善されていくに違いありません。